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膝を守る! 膝の変性疾患に対する装具の提案
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膝を守る! 膝の変性疾患に対する装具の提案
膝を守る! 膝の変性疾患に対する装具の提案
2017.09.01 パシフィックサプライ株式会社 事業開発本部 市川俊介(義肢装具士)
日常生活の中で、膝関節に不安と痛みを感じる方は多いのではないでしょうか。矯正ではなく【Unloading=免荷】という概念で開発された膝装具アンローダーワン。今回のナビゲーターは弊社事業開発本部装具事業グループの義肢装具士!市川がご案内いたします。
はじめに

膝の関節(脛骨大腿関節)は太ももの大腿骨と、すねの脛骨から構成されています。大腿骨と脛骨の隙間が狭くなり、痛みを呈すると変形性膝関節症(Knee Osteoarthritis;膝OA)の可能性があります(図1)。多く場合、膝関節の内側区画で隙間の狭小化が見られ、いわゆるO脚変形になりますが、膝関節の外側区画に狭小化が生じて、いわゆるX脚変形になる方もいます。膝OAの診断にはレントゲン画像やMRI画像が用いられ、隙間の変化や骨の表面形状(毛羽立つなどの変化)から病状の程度を判定するK-L分類(図2)が多用されています。K-L分類では2から4を膝OAと診断することが多いですが、骨の変形と痛みの程度に相関関係はみられず、明確な診断基準もありません(Altman R et al.,1986)。つまり、膝関節の隙間が正常であるにも関わらず痛みが出る方もいますし、膝関節の隙間が狭いにも関わらず痛みが無い方もいます。
        
図1.変形性膝関節症の姿勢
O脚変形になることも多いが、X脚変形もある。足関節や股関節の姿勢も関与するため、複雑な様態を示すことが多い。

 

図2レントゲン画像による膝OAの判別
Grade0:Normal, GradeⅠ:Doubtful, GradeⅡ:Minimal,GradeⅢ:Moderate,GradeⅣ:Severe
大腿骨(上方)と骨(下方)が成す間接面の距離(隙間)と、骨棘の有無で判別する。【Kellgren JH&Lawrence JS,Ann rheum.1957 より引用】

 

本邦で実施されている膝OAの世界最大規模コホート研究であるROADプロジェクトによると、65歳以上の女性で60%以上と男性で40%以上が、80歳の女性で80%程度と男性で50%程度が、K-L分類の2以上であったと報告されています(図3)。


       
図3 国内ROADプロジェクトによる膝OA有症者数の報告
同一の被験者群を対象にした結果で、左図は痛みを訴える被験者の比率を表している。それぞれの横軸は年齢、括弧内は調査対象者数、縦軸は、比率を表す。【Muraki S,et al. Osteoarthritis Cartilage,2009  より引用】

 


 

膝OAと膝装具

膝OAの治療ガイドラインは国際変形性関節症学会(Osteo Arthritis Research Society International;OARSI)、日本整形外科学会、アメリカ整形外科学会(The American Academy of Orthopaedic Surgeons;AAOS)、アメリカリウマチ学会(American College of Rheumatology;ACR)、ヨーロッパリウマチ学会(The European League Against Rheumatism;EULAR)など多くありますが、いずれにおいても装具の推奨程度は高くありません。

しかし、先のROADstudyに関わる報告(http://www.daiwa-grp.jp/dsh/results/39/pdf/09.pdf)によると、骨棘の形成が疼痛やADL障害に関連しているとされ、骨棘の形成を抑制するためには関節の不安定性を低減させる必要が示唆されています。

では、装具は「関節の不安定性」を低減できるでしょうか。

AAOSは1984年に膝装具をProphylatic、Rehabilitative、Functionalの3つに分類し、近年では更にpatellofemoral装具とunloader装具が加わっています(http://www.orthoillinois.com/wp-content/uploads/2015/03/Knee-Bracing-for-Athletic-Injuries.pdf)。Patellofemoral装具は膝のお蓋と大腿骨が成す関節面の関節症を対象にした装具で、unloader装具は変形性膝関節症(Knee Osteo-Arthritis;KOA)や骨壊死を主な対象にした機能的装具のことです。機能的装具とは関節の動きに合わせて、必要なときに必要な矯正を機能させる装具のことです。装具の目的は固定・免荷・矯正・機能の代償などありますが、unloader装具は免荷を目的にします。膝OAで傷んだ関節面に加わる負荷を免れるために装具で矯正力を加えます。

unloader装具の代表的な製品にオズール社のアンローダーワンがあります。膝関節を約30度屈曲位から完全伸展するまでの区間で、ストラップによる免荷が作用する機能的外反膝装具です(図4)。


    
上左図:擬足の膝関節相当部における平均圧力の変化(二重線が内側区画、破線が外側区画)
上右図:装具を装着した擬足の股関節相当部における平均圧力のの変化(実線が内側区画、点線が外側区画)

装具装着によって15度屈曲位から伸展位の間で顕著に内側区画が免荷され、外側区画へ圧力が変位していることが確認される


 

 


図4 アンローダーワンの機械的特性
左図の模擬足のみで動かした股関節相当部の圧力変化に比較して右図のアンローダーワン装着下では内側区画が大きく減圧されている。

常に矯正力を発揮する装具との違いは何でしょうか。膝装具や膝サポーターを使用された経験がある方は何となく想像がつくかもしれません。

違いは「ズレやすさ」です。

膝関節の動きは複雑で、装具の膝継手(膝関節に相当する蝶番の部品)とは異なる動きをします。異なる動きで生じる、少しずつのズレによって、膝装具はズレやすいことが問題にあげられます。そのズレを最小限にするためには、矯正力が不要な時には「軽い着け心地」を提供し、矯正力が必要な時は「しっかりした着け心地」を実現できる装具が合理的だと考えられます。


 

Ossur Unloader One Knee Brace at DME-Direct.com
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