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パシフィックニュース

モーリフト利用事業所 事例紹介

リフト・移乗用具

モーリフト利用事業所 事例紹介

社会福祉法人きぬがさ福祉会 障害者支援事業所 いきいき 古家 一男

2013-10-01

社会福祉法人きぬがさ福祉会は、身体障害の人が利用できる施設を求める声に応え滋賀県近江八幡市に2002年に身体障害者通所授産施設として開所しました。翌2003年、医療的な対応が必要な重度心身障害者のための身体障害者療護施設通所A型を併設。その施設が2008年に新しい制度にもとづき障害者支援事業所いきいきとなりました。
現在32名の利用者が「仕事ができる喜び」とともに自治会活動など日中活動を行なっています。

リフト導入以前の介助に対する考え

行なっていました。
「せーので!」「よいしょっ!」ドスン(着地音)という様子でした。
それは、「人の手による介助が温かみがある」「使い方がよくわからない」この2点が大きな理由でした。(画像1)
職員側の意見としては、「リフトは手間がかかり面倒そう」「機械だと事故を起こしそう」「シートのつけ方がわからない」

一方、利用者側は、「怖そう」「痛そう」そんな漠然とした不安をもっていました。しかし、全面介助を必要とする利用者が急増する中で「リフトを使ったら介助負担が軽減するのでは?」という意見がきかれるようになりました。

画像1

まずはリフトを使ってみよう

利用者自身が他施設でリフトを試行してみることにしました。痛みがなく安全であることを実感してもらうと共に、当事業所で職員が職員をリフトしその場面を利用者に見ていただき「楽しそう」と思っていただけるような取り組みをしました。

他機関との連携

シートの装着方法や利用者一人一人へのリフトの扱い方などについて、当事業所のリハビリテーションマネジメントの専門職である滋賀医療技術専門学校理学療法学科、滋賀県立リハビリテーションセンター、滋賀県福祉用具センター、佛教大学理学療法学科、ノーリフト協会と連携し利用者一人一人にあった移乗方法を指導していただきました。

また、利用者に最適なスリングシートを見つけるためにデモンストレーションを数多く行ないました。スリングシートの選定と床走行式リフトの選定に約7ヶ月を要し他機関との連携も延べ数十回を重ねました。(画像2・3)

画像2

画像3

モーリフトを選んだ理由

日頃から、社会参加活動として事業所から外出することが多いので「折りたたんで気軽に持ち運べる」というのが大きな理由でした。また「本体の重量が軽いため過度の力を必要としない」「リフトの動きがスムーズで早く移乗ができる」「スリングシートの取り扱いがわかりやすい」という点もあげられます。

導入後

開所時から床走行リフトの想定がされていなかったため畳の側面を切断しモーリフトが差し込めるように改修しました。(画像4)
トイレにベッドの設置とトイレへのスムーズな移動のために利用者に適合したトイレキャリーも製作しました。(画像5・6)今まで使用できるトイレが限定されていましたが、このことでどのトイレも使用できるようになり、トイレ待ちが解消されつつあります。

職員は、天井走行と床走行の取り扱いが違うという戸惑いもありましたが、持ち上げている時と比べて利用者の筋緊張が少なくリフト中に動いても安定しているので安心して介助を行うことができるようになりました。腰などの痛みが少なくなったという声も聞かれます。
利用者は、以前職員の「せーの」の掛け声と同時に一緒に頑張っていましたが、リフトを使うことで「車椅子に乗ろうか」「上がるよ」「車椅子に乗るよ」などの声かけに、より安心した表情が見受けられます。

画像4

画像5

画像6

導入後の技術的に得なければならないこと

スリングシートを装着することやリフトの操作は、人が抱えて移乗することよりも時間が掛かります。この時間をどのように使うかという視点に立つことで、安全安心な声かけや日常の話などコミュニケーション技術が必要となりました。このことは介助全体に対して有効となっています。

今後の課題

現在施設利用者32名中、リフト移乗対象者は11名ですが現在の実施状況は6名となっています。利用者本人と家族に十分説明を行いリフト移乗を進めていくようにします。
現在の利用者の加齢に伴う介助量の増加と新規事業所利用希望者の重度化が予想されるため全職員がリフトの操作をマスターすることが求められています。
方法としては、リフト操作が一人でできる職員が増えつつあるので「経験を積んだ職員と初めて操作する職員が二人介助で行い操作を熟練すること」が考えられます。
「シートを装着するときの介助技術を身につける」など、まだまだやらなければいけないことがたくさんありますが、利用者にとってより安全で安心な移乗を目指して日々努力をしていきたいと思います。

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