パシフィックニュース
装具カンファレンス仙台を開催して
装具
装具カンファレンス開催報告
パシフィックサプライ株式会社 事業開発本部 松本 浩司
2014-10-15
今年2014年9月6日(土) 宮城県仙台市にて「脳血管障害への下肢装具カンファレンス2014」を開催させて頂きました。 『装具カンファレンス』という企画自体は、2012年大阪からスタートし、東京、名古屋、福岡と全国へ開催を拡げてまいりました。
はじめに
弊社では震災直後、東北震災復興支援活動の一つとして東北地区での弊社有償セミナーの参加費を無料とする取組みをスタートしました。2013年9月28日に福島市で『下肢装具カンファレンス・みちのくシリーズ』開催。2年目の今年は、仙台市での開催となります。
事業開発本部 松本 浩司
装具難民を救え!
仙台市での開催を企画するにあたり、以前より仙台市にて装具を中心とした脳卒中地域連携活動にご尽力され、また弊社『装具カンファレンス』基調講演講師をお願いした一般財団法人広南会 広南病院の阿部浩明先生に企画段階からプロデュースして頂き、今回のカンファレンステーマを全国各地域の課題でもあり、開催地仙台の課題でもある「装具難民を救え!」と致しました。
プログラムでは、回復期リハビリテーション病院で生活期での装具・ボトックス外来をされている西宮協立リハビリテーション病院 勝谷将史先生(Dr)による基調講演。同じく回復期リハビリテーション病院を中心に地域での装具連携を実践しておられる愛仁会リハビリテーション病院大垣 昌之先生(PT)によるランチョンセミナー。いずれも今回のテーマである「装具難民を救え!」の実践者としての貴重なお話をいただきました。
今回は、装具カンファレンス初となるシンポジウムを企画開催し、急性期・回復期・行政・生活期における各領域の先生方に登壇いただきました。
2年に渡る装具カンファレンスを通して課題となっているのは、今日のリハビリテ―ションの最終ステージである生活期において、装具に関しての統一的なシステムがなく、ご利用者の装具が放置されている現状にあります。その現状を各領域の方々が共有の課題とし、そのために何をしなければならないのかを共に考えていくこと。このことが今回のテーマを解決していく第一歩であります。
カンファレンスプログラム
・ 生活期リハビリテーションとして我々がなすべきこととは
○ ランチョンセミナー: 愛仁会リハビリテーション病院 大垣昌之 先生
「 下肢装具における地域連携のあり方を探る 」
・ 回復期リハビリテーション病院への課題
・ 課題解決のための早期装具療法
・ 装具療法のシステムづくり
・ 地域リハ資源活用マップ
・ 装具地域連携づくり(装具ノート)
○ 演題 8演題
(セッション 1)
1.1 仙台市の急性期病院における装具作製の実態
~ 当院の装具作製の実態と仙台市内の急性期病院の装具作製状況 ~
広南病院 リハビリテーション科 駒木
1.2 Gait Solution Design装着により麻痺側立脚期に影響がみられた一症例
広南病院 リハビリテーション科 斎藤
1.3 当院における装具療法の選定基準
宮城厚生協会坂総合病院 菅田
1.4 下肢装具使用者の方へ ~ これからの装具の付き合い方 ~
株式会社 佐々木義肢製作所 宮内
(セッション2)
2.1 脳卒中急性期における長下肢装具作製の検討 -当院の現状と課題-
山形済生病院 有路
2.2 当院回復期病棟における長下肢装具の積極的使用による効果と課題
竹田綜合病院 小牧
2.3 脳卒中回復期における長下肢装具療法の取り組み
国立病院機能岩手病院 飯島
2.4 重度右片麻痺者に牽引式免荷装置と長下肢装具を併用して歩行練習に介入した症例
長町病院 木村
シンポジウムプログラム
○ シンポジウム 「 装具難民を救え! 」 各領域からの提言
座長: 広南病院 阿部浩明 先生
急性期からの提言: 山形済生病院 安部恭子先生
回復期からの提言: 坂総合病院 藤原 大先生
行政からの提言: 宮城県リハビリテーション支援センター 中島 由樹 先生
生活期からの提言: 総合南東北病院 芝崎 淳 先生
今回の装具カンファレンスのメイン企画 「 装具難民を救え!」シンポジウムでは、各領域から
の先生方の取組みや提言を頂きました。
急性期:安部恭子先生
〇急性期の立場から地域に装具療法を根付かせていくための具体的な取組みについて
病院内の取組みとしては、平成26年4月から装具カンファレンスを開始。地域では、平成25年6月から「山形地区脳卒中下肢装具研究会」を開始。今年8月から取組んでいる「1症例検討会」を紹介。地域での装具連携を実行していく上で、急性期の役割は最も重要である。
回復期:藤原大先生
〇回復期の医師の立場から、装具処方における回復期病院の実状について
患者さまの経済的ジレンマ。処方する時の治療用装具と生活期装具のジレンマ。
しかし、今日、ボトックス療法等の新たな治療法により、維持期でも改善していくことが充分可能性のあることを意識することが大切であり、そのためにも我々医療職は、個々の症例経験に関する情報共有することが重要である。
行政:中島由樹先生
〇更正相談所の立場から、装具支給制度、装具支給のプロセス、生活の中で使われる装具の考え方について
制度自体は、申請制ではあるが、生活期の中で装具を適切に使っていただくためには、ご利用者、生活期のスタッフと情報を交換できるシステムづくりが必要である。
維持期: 芝崎淳先生
〇急性期・回復期・生活期を実体験された中で、生活期でのリハビの重要性について
① 生活期のリハビリテーションの効果
② 生活期における片麻痺者へのかかわり
③ 医療用装具と更正用装具
④ 装具再作成へのかかわり方
おわりに
今回の装具カンファレンスでは「装具難民を救え!」というテーマで企画させていただきました。弊社では6年前から、早期装具療法の重要性と、病院内での長下肢装具備品の普及浸透をテーマに活動してまいりました。この取組みの中で、現場のセラピストの方々からいただいた課題は、「病院間での装具への考え方が違う」ということ。このことにより早期装具療法が浸透しないということでした。そこで、新たな取組みとして3年前から、千里リハビリテーション病院・吉尾雅春先生、広南病院・阿部浩明先生に講師としてご協力をいただき「地域連携装具セミナー」を開催してまいりました。
当初は、急性期病院と回復期病院での治療用装具の連携から、生活期装具の実態が報告され始めるようになり、次第に生活期までを含めた地域連携の在り方を考えるようになりました。
装具療法の最終目標は、生活期での歩行が獲得されていることなのです。
装具使用者は、装具のアフターフォローと歩行機会が得られ、継続されているのか。治療においても装具療法が導入されているのか。生活期で装具なしで生活を始められた方は、今でも装具なしの状態で歩行できているのか。
日本全国、各地域での、脳卒中片麻痺の方の歩行再建の運動療法が切れ目なく連携されている。その中で「装具」がシームレスに活用され続けている! 一人ひとりの生活が尊重され歩くことをあきらめない!その日を目標にこれからも多くの専門職の方々と連携し活動を進めてまいります。
今回の仙台カンファレンス開催にあたりまして、企画頂いた阿部先生はじめ、基調講演の勝谷先生、ランチョンセミナーの大垣先生、演題発表者の先生方、シンポジストの先生方、そしてご来場頂きました80名の参加者の皆様。本当にありがとうございました。 心から感謝を申し上げます。
今後のカンファアレンス予定
来年も東北で装具カンファレンスを開催いたします。
2015年2月29日は大阪、3月28日は東京にて開催です。
第4回脳血管障害への下肢装具カンファレンス2015
https://www.p-supply.co.jp/seminars/161
第4回脳血管障害への下肢装具カンファレンス2015
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