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パシフィックニュース

選手の怪我予防を目的とした装具利用の取組み2

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選手の怪我予防を目的とした装具利用の取組み2

関西学院大学体育会アメリカンフットボール部 FIGHTERS

株式会社プロフェッショナルトレーナーズチーム 渡邉 真一 (理学療法士)

2015-03-16

2014年度学生リーグチャンピオン関西学院大学 アメリカンフットボール部FIGHTERS。コンタクトスポーツであるために年間約300件の外傷が頻繁に発生していました。2013年春よりFIGHTERSでは選手の怪我予防のためにアングルブレイスとニーブレイスの導入を開始しています。強豪チームの健康管理と傷害予防をサポートするプロトレーナー・渡邉氏。ブレイス導入後のレポート第2回目をお届けいたします。

続・傷害予防の取り組み

アメリカンフットボールの競技特性上、コンタクトによる下肢の外傷が絶えません。特に、膝の重篤な傷害を防ぐため、2013年度からラインマンに対し、ハードタイプの膝装具を装着するようにしました。足関節捻挫も多いですが、こちらもプレー中に巻き込まれて受傷するケースが大半を占めます。プレー中のケガを完全に防ぐことは困難ですが、予防としてチームでブレイスを導入しておりますので、その結果と今後の課題について述べたいと思います。

 

<ブレイス類導入にあたって>
選手の体型や好みがあるので、ニーブレイス、アンクルブレイス共に1種類に限定せず、2、3種類の中から選択してもらう方法を取っております。

 

試合写真1

試合写真2

ニーブレイスについて

《導入の結果》                                                                    

1.外傷数について
ニーブレイスをハードブレイスに変更して2シーズンが経過しましたが、残念ながら前十字靭帯損傷と膝蓋骨脱臼という2例が発生しました。どちらもコンタクト中に膝関節へ強い回旋力が加わって損傷しております。ただ、数字として残ってはおりませんが、ブレイスがあることで負傷を免れたケースも多くあります。


2.製品について
2013年度はアルミフレームの商品のみ採用しておりましたが、2014年度はカーボンフレームの商品を新たに採用しました。
2013年度は年間10個以上フレームの破損がありましたが、2014年度は破損ゼロでした。
下肢のアライメントや周径が人によって違うため、皮膚トラブルが発生するケースがあります。これについてはスリーブを装着することで解消されます。

《問題点》

1.選手の成長への対応
 ニーブレイスを購入した新入生の大腿周径が急激に大きくなったため、膝屈曲した際に大腿内側の皮膚がブレイスに挟まるという現象が起きました。これは正直想定外でした。ストラップをフレームに止めているパーツをフレームの外側に付け直し、膝まわりにスリーブを装着することで解消されました。
 

2.費用について
 ニーブレイスの費用については、部が6割負担し、選手は4割の自己負担としております。部費を徴収していないため、OB会に支援をしていただいて実現しております。

 

試合写真3

ニーブレイス

ニーブレイス選手成長への課題

アンクルブレイスについて

以前から捻挫予防としてテーピングを巻いて練習しておりましたが、学生トレーナーの人員不足と選手数の増加から練習効率を良くするためにも、2011年度からアンクルブレイスを積極的に導入しました。

スパイクのフィッティングが低下するため、嫌がる選手も多かったのですが、徐々にアンクルブレイスを使用する選手が増えてきました。フィッティングの問題を解決するため、できるだけ薄いブレイスを探していたところ、BAUERFEIND社のマレオTrainSが非常に薄く、フィッティングが良かったため、2014年度から導入しました。


《導入の結果》

1.外傷数について
2014年度の足関節捻挫受傷者のテーピングとアンクルブレイスの比率は50:50であり、アンクルブレイスの種類についてはBAUERFEIND社とその他の比率も50:50でした。予防としての効果はどれを選んでも差がありませんでした。

BAUERFEIND社のマレオTrainSについては、他の商品と違って、生地の編み方が距骨前方からしっかりとホールドしてくれる感覚があるため、足関節捻挫の既往があり、不安定性がある選手には好評だと思います。アングルブレイスだけで不安な場合はブレースの下にテーピングを部分的に併用しております。

2.費用面について
2012年後半から為替レートが円安に推移し、2014年後半からは更に円安が加速したため、テーピング価格が高騰し、4割近く値上がりしました。学生にとっては大きな負担となります。

先に述べましたが、練習効率の面でのメリットを考えてもアンクルブレイスの使用が現実的に良いのではないかと考えます。

BAUERFEIND社 マレオTrainS

試合写真4

最後に

予算的に非常に厳しい学生スポーツにおいて、メーカー、サプライヤーへの方々にご尽力いただき、また、多くのOBや選手の家族、ファンの方々によって支えられて成り立っておりますことに感謝しますとともに、この場を借りて御礼申し上げます。

試合写真5

試合写真6

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