パシフィックニュース
『VOCAで遊ぼう in 徳島!!』実施・・・から今後の広がり
AAC(コミュニケーション)
『VOCAで遊ぼう in 徳島!!』実施・・・から今後の広がり
パシフィックサプライ? 事業開発本部 松浦 拓也
2015-07-15
はじめに
「VOCAで遊ぼう」は2010年から現在まで46回開催している弊社のイベントです。
AT(Assistive Technology)であるVOCA(Voice Output Communication Aids)や入力スイッチを活用し、友達との関わり方やコミュニケーション等において、自ら思いを発信できる事を体感し、保護者・支援者も本人の可能性の広がりを実感していただけるイベントです。
今回、コミュニケーションエイドのスペシャリストこころ工房宮崎 美和子氏と、幼少期よりVOCAユーザーとしてアクティブに活動されている圓井陽子様のお母さまより徳島でのイベント開催のご依頼を頂き、「VOCAで遊ぼう in 徳島!!」を開催する事となりました。
今回は、「楽しもう!コミュニケーション」をコンセプトに、お子さまへのコミュニケーション支援を保護者の方や支援者の方が、様々な活用イメージを創出する機会となるように企画し、12組のご家族と10名の支援者の方にご参加いただき開催をいたしました。〈写真1〉
※イベントのパンフレットは、圓井様ご家族に作成して頂きました。
まずは、パワーポイントを用いたご紹介です。
保護者の方や支援者の方へ、VOCAとは何か!に理解をもっていただき、お子さまがどのようなVOCAやスイッチを活用できるのか、イメージをしながらイベントに参加していただけます。〈写真2〉
写真1 VOCAで遊ぼう 案内チラシ
写真2 イベントの様子
物事の理解へ・・・個別アクティビティ体験
個別アクティビティの「足湯」を体験して頂いたお子さまです。
安定した座位姿勢をとるためラッサルクッションを利用しました。そして、手元にあるジェリービーンスイッチツイストを操作する事でフットバス器を動かします。
スイッチのフィッティングもお子さまの楽な可動域で行うことが大切です!姿勢も安定し、このポジションが楽に動かせるようですね。
全てが初めての体験なので、少し緊張気味です〈写真3〉
と思いきや、早速この表情!
よほど足湯が気持ち良いのか、リラックスした様子でラッサルクッションに身を任せています。
『こういうのも好きだったんだね~!!』
お母さまも新たな発見です!
個別アクティビティの体験では、お子さまの新たな可能性をご家族、支援者、そしてお子さまご本人も知る機会となりました。〈写真4〉
写真3 個別アクティビティ「足湯」
写真4 個別アクティビティ「足湯」
物事の理解へ・・・集団アクティビティ体験
集団アクティビティでは「椅子取りゲーム」を行い、円の中央にいる男性がステップバイステップウィズレベルというVOCAを利用して、ゲームスタートの合図をしていただきます!
- ステップバイステップウィズレベルには複数のメッセージや音声を順番に録音・再生を行う事ができるの で、スタートの合図の音楽を分割して録音しておきます。〈写真5〉
- 再生させた後、音楽は自動的に止まります。それを合図に皆が椅子を取りに走る、というVOCAを活用した集団アクティビティです。
合図をする方は、「自分が行った事でみんなが動く」という主体的な意識につながります。周りで動いているお子さまは動きのあるアクティビティなので、それだけでも皆で活動する楽しさを体感する事が出来ます。それを繰り返し行う事でゲームの意味・ルールを理解する機会にもなります。
普段あまり経験する事のない集団アクティビティという事で、とても楽しんでいただきました。〈写真6〉
写真5 集団アクティビティ1
写真6 集団アクティビティ2
VOCAと共に
最後に、幼少期より約20年VOCAを生活のあらゆる場面で活用されてこられた圓井陽子様より今まで生きてきた中で支援ツールがどういった役割を担ってきたのか、そして地域との関わりや社会参加を目指すためにどのような取り組みを行ってきたのか、ご自身の体験談をVOCAとスイッチを利用しながら、お母さまと一緒に参加者の方々にお伝えいただきました。〈写真7〉
会場にいらした全ての方々が、圓井様のお話に引き込まれていきました。保護者や支援者だけが頑張るのではなく、保護者と支援者、関わる全ての人が連携する事で地域社会と繋がり、お子さまが社会参加していくための道が整ってくるのだと感じました。そのためには、今後「療育」「教育」「卒業後」に関わる方々へ、支援ツールに対する働きかけも今まで以上に訴え続ける必要があると強く考えさせられました。〈写真8〉
人の心を動かし、自然と心に入ってくる圓井様親子のお話・・・・。
私自身、とても心を打たれましたし、参加者の方々にとっても我が子の成長過程のイメージがより明確になっていったのではないかと感じています。
写真7 圓井さまプレゼン1
写真8 圓井さまプレゼン2
明日にむけて
圓井陽子様は幼少期から今まで、約20年近く入力スイッチやVOCAを使用し社会参加のツール、そして自分の声として活用されています。現在、陽子様とお母さまの美貴子様は、地域の児童館に訪問し小学生との交流活動を始めとして、学校からの講演依頼も引き受けています。
圓井様のアクティブな活動の根底には、地域や社会に対して、障がい児・者への理解と共に、誰しもが尊重された暮らしやすい環境を求める強い思いがあるのではないでしょうか。
次号8月・9月のパシフィックニュースでは、お母さまの圓井美貴子様に『VOCAとともに夢叶えよう!』を連載で執筆いただく予定です。圓井様に今までのご活動や日常生活をご紹介いただくことで、皆さまにたくさんの夢と勇気をお届けできるのではないかと期待しています。
地域との関りが持てる尊厳ある社会を目指し、お客さまに寄り添いながら、今後とも私たちに出来ることを行動していきたいと思います。
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