検索

Close

検索したいキーワードを入力してサイト内検索をする

パシフィックニュース

Ossur社 多軸膝継手新型トータルニーの紹介

義肢

Ossur社 多軸膝継手新型トータルニーの紹介

2010-07-01

大腿切断者の安全でなめらかな歩行を実現するためにトータルニーは開発されました。
このたび大幅な製品改良を実施、扱いやすさや耐久性がさらに増し、外観デザインも一新いたしました。
あらためて機能、特徴とそのメリットをご紹介します。

代表的なトータルニー TK2000(写真左)とTK1900

基本設計は同様ですが、遊脚相制御機構が異なります。
油圧による優れた遊脚相制御を実現するTK2000。
摩擦によるゆっくりとした歩行の制御のみに限定し、低価格を実現したTK1900。
義足リハビリテーションの目的やゴールに従い、安心・安全は全く妥協せず、最適な製品選びが可能です。

TK2000 ¥363,400
(平成22年度完成用部品価格)
TK1900 ¥251,800
(平成22年度完成用部品価格)

TK2000

TK1900

多軸膝継手トータルニー -安心、安全、そしてストレスのない膝継手-

  1. 独自の多軸構造により、遊脚中期に膝継手の遠位下方(下腿部~足部部分)が短くなります。
    これにより振りだし中の義足足部と地面との間の隙間(トークリアランス)が広がりますので、歩行中のつまずきによる転倒の恐れを少なくします。膝継手の働きによるトークリアランスの獲得は、歩行中の伸び上がりや意識的な義足側を短くした組み立てなどの異常歩行の原因を取り除き、より自然な歩行を可能にします。
     
  2. 完全伸展状態でかかとを接地すると、膝継手にはロックがかかり伸展位のままで完全な固定状態となります。その後、立脚後期にかかと離れが起きるまで、ロックは解除されることがありません。立位時にもかかと側に体重をかけることで膝折れの懸念がとても少なく、安心で安全な膝継手です。伸展補助ばね(後付け)の働きにより、遊脚末期に膝継手は自然に完全伸展します。
     
  3. 膝継手前方には歩行時の衝撃を和らげるゴムバンパーを取り付けています。
    かかと接地時、膝は伸展状態で固定となります。一方、接地により発生した衝撃は、膝継手を曲げようとする力となります。トータルニーではゴムバンパーの変形により、接地時の衝撃を緩和し、膝にかかる負担を軽減します。これはソフトで快適なかかと接地をもたらすだけでなく、歩行全体の安定や効率の向上にもつながります。

    歩行の滑らかさが増し、ストレスの少ない自然で美しい歩容が得られます。

    膝継手には硬さの異なる4種類のゴムバンパーが付属品として同梱されています。安定感やショック吸収を重視するのであれば軟らかなバンパー、たわみの少ないダイレクトな膝継手を好むのであれば硬いバンパーというように、装着者の状態や好みに応じてカスタマイズできるのもトータルニーならではの魅力です。

装着者の歩きに適した製品選択と最適調整

油圧を用いたTK2000、摩擦を用いたTK1900。いずれの製品も自動ロックやバンパーなどの基本デザインは変わりません。
製品の選択は、装着者の現在の歩行速度や今後の見通し、在宅復帰後の生活や就労環境などを勘案して行います。

  1. 歩行速度はゆっくりで、速度もあまり変わらない。生活・就労環境の中でも速度変化の要求が少ない。
    摩擦を用いたTK1900を推奨いたします。
     
  2. いろいろな速度で歩行でき、生活・就労環境の中で周囲の流れに合わせた速い歩きなどが求められる。
    油圧を用いたTK2000を推奨いたします。

TK1900の摩擦抵抗装置の調整

  1. 固定ネジ(図1)を反時計方向に緩めます。(最大に回しても半回転です。無理に回すと破損する恐れがあります。)
     
  2. 前方の摩擦調整ネジ(図2、3)で摩擦抵抗の調整をします。12時の状態(図2)で抵抗が最小、時計方向に回し3時の状態(図3)で最大の抵抗となります。調整範囲はこのように1/4回転です。この中でヒールライズの量やターミナルインパクトなど、振り出しを最も好ましい状態に調整します。
     
  3. 調整が完了したのち、摩擦ネジがゆるまないよう、固定ネジを時計方向に締めておきます。

図1:矢印が固定ネジ

図2

図3

TK2000の油圧抵抗装置の調整

TK2000には3つの油圧抵抗調整ネジがあります。
A:バルブネジ(図4):60度以上の屈曲に対する抵抗調節
B:バルブネジ(図4):0~60度までの屈曲に対する抵抗調整
C:バルブネジ(図5):屈曲~伸展に対する抵抗調整

ABC調整ネジとも、時計方向に回すと抵抗が強く、反時計方向に回すと抵抗が弱くなります。

  1. 全ての調整ネジを初期設定値にします。Aバルブネジ、Bバルブネジ:完全に時計方向の回しきった状態から3/4回転戻す。Cバルブネジ:完全に時計方向の回しきった状態から1回転半戻す。
     
  2. Aネジ→ネジ→Cネジの順で基本調節を行います。
    -1 ヒールライズの大きさ(歩行中の最大屈曲角)をAネジで調整します。座位で初期調整を行い、その後、歩行を観察し左右のヒールライズがそろうよう調節を行います。

    -2 次にBネジで伸展⇔最大屈曲間の振り出し速度を調整します。歩きたい速度に比べて振りだしが遅ければBネジを時計方向にまわし抵抗を強くし、反対に膝が曲がりにくければ反時計方向に回し抵抗を弱くします。

    -3 最後にCネジにより伸展時の衝撃(ターミナルインパクト)を調整します。膝が伸びきった時に衝撃が強ければCネジを時計方向に回し、衝撃をやわらげます。膝の完全伸展を本人が確認できる程度の衝撃は残すようにします。

図4.A,B調整ネジ

図5.C調整ネジ

初期の抵抗調整後、歩く速さを変え抵抗の微調整を行います。本号では割愛いたしましたが、TK1900、TK2000ともベンチアライメントを正しく設定することがとても重要です。摩擦や油圧だけでなく、伸展補助ばねや伸展促進バンパーなどでさらに細かな個別調整も可能です。(詳しくは、弊社営業担当者までご確認くださいませ。)

また、抵抗装置は適切に初期調整を行うことはもちろんですが、その後、装着者の歩行レベルや生活環境の変化にあわせて定期的に事後調整を行うことでその機能を長期間にわたり適切に発揮できます。