パシフィックニュース
SPH・Jカンファレンスに参加して
リフト・移乗用具
SPH・J(Safe Patient Handling・Japan)カンファレンス報告
パシフィックサプライ株式会社卸事業本部 北田 篤史
2015-10-01
2015年7月25・26日に公益社団法人 関西シルバーサービス協会と日本福祉用具・生活支援用具協会(JASPA)リフト関連企業連絡会の共催で開催されたSPH・J(Safe Patient Handling・Japan)カンファレンス~『安全な患者/利用者介助を考える会』~について実行委員として参画致しましたので報告させて頂きます。
基調講演Ⅰ
今回初の開催にも関わらず、基調講演2題、腰痛予防の取組みなど事例発表に13題がエントリー頂き、2日間で延べ150名方々が全国より参加いただきました。
初日の基調講演では同会の発起人でもある森ノ宮医療大学保健医療学部理学療法学科の上田喜敏先生に「安全な患者/利用者介助の展開」として人間工学の視点での介助者への身体的負担、データに基づいた日本の介護労働環境の現状と世界の潮流など提示頂きました。
上田先生の理論についてはパシフィックニュースに特集記事として別途、詳しく掲載頂いております。是非ご一読下さい。
基調講演1
基調講演Ⅱ
2日目の基調講演では富山県特別養護老人ホームささづ苑の岩井広行施設長の腰痛予防の取組みについて、ご講演を頂きました。同氏は金融機関の職歴を持ち、4年前より施設長に着任されました。
岩井施設長は就任後、民間企業では例えば、建設業のクレーンや重機、製造業では産業用ロボットなど従業員の安全確保や作業効率アップのために設備投資を行う事は当たり前のように行われているのに対し、介護の現場では腰痛保有者が多い事、腰痛を理由に当日休暇や早退申し出のたびに管理者はスタッフのやり繰りに四苦八苦している状況に疑問を持ち、福祉用具の導入を開始されました。
施設全体で組織的に取り組む旨をトップダウンで全従業員に周知する傍ら、施設経営者に対して複数回の上申・説明を実施。また、富山県福祉カレッジ、介護実習・普及センターの主催するキャリアアップ訪問指導事業など外部の研修なども積極的に活用。
結果、福祉用具導入一年後のアンケートでは82%の職員の方が身体的負担軽減を実感された事など利用者、従業員、経営者が得たメリットについて発表頂きました。
基調講演2
事例発表
事例発表では、全国の実践者の方々に13演題ご発表頂きました。
1・「センサーベッド使用による介護ストレス軽減例と福祉用具機器の経年劣化への対応について」
社会福祉法人 市原寮 介護老人福祉施設 花友しらかわ 松本哲郎 氏
2・「高知県の取り組み実践報告 ~持ち上げや引きずり介助」を無くすための活動~」
生き活きサポートセンターうぇるぱ高知 下元佳子 氏
3・「多機能型事業所(生活介護事業)における天井走行リフトの導入について」
三木市立障害者総合支援センター はばたきの丘 森 敦子 氏
4・「介護用リフト活用の実践からみた現状と課題」
社会福祉法人播陽灘 特別養護老人ホームいやさか苑 田上優佳 氏
5・「9年間の腰痛調査からみえてきた当院腰痛対策の効果と課題」
医療法人社団康人会 適寿リハビリテーション病院 田中庸平 氏
6・「平成26年度の当院入院患者における移動用リフト使用実績」
医療法人かぶとやま会 久留米リハビリテーション病院 井手なぎさ 氏
7・「移動用リフトの操作能力における院内教育の効果」
医療法人かぶとやま会 久留米リハビリテーション病院 内之浦真士 氏
8・「介護リフト導入に向けての取り組みと今後の課題」
社会福祉法人正武福祉会 特別養護老人ホームさんらく苑 佐々木博美 氏
9・「元気な体で働くために ~奮闘・模索のよも山ばなし 今もそしてこれからも奮闘・模索は続く~ 」
特別養護老人ホーム ささづ苑 江尻勇輝 氏
10・「重症心身障害者施設での浴室リノベーション~利用者への同性介助と安全安楽な入浴を目指して~」
和歌山県社会福祉事業団 南紀医療福祉センター 伊藤久美 氏
11・「リフトを上手く使いこなすには」
シーホネンス株式会社 リコ販売課 中山恵一 氏
12・「腰痛が職員の労働能力に与える影響について」
スマイリングホーム メディス足立 笠原聖吾 氏
13「回転盤を見直そう Let’s use the turntables」
愛媛県立医療技術大学 窪田 静 氏
詳細は掲載しきれませんが、どの取り組みも現在の職場環境の問題意識、それを解決するための組織編制とフォローアップ、活動と効果の客観的な評価の重要性を強く感じさせる発表でした。
事例発表1
事例発表2
知識と技術の交流の場をめざして
2013年6月18日厚生労働省は「職場における腰痛予防対策指針」を19年ぶりに改訂し、介護・看護の労働環境整備や介助技術への意識は確実に高まっています。
今回ご参集頂いた方々は経験を共有化する事でより良いケアの提供、職場環境の構築を目指しておられます。このようなカンファレンスが医療・介護の現場で活躍される方々が健康的にケアサービスを提供できる知識と技術の交流の場になるよう今後も活動を継続して参ります。
企業展示1
企業展示2
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