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パシフィックニュース

車いすトレーニング講習会

車椅子/姿勢保持

車いすトレーニング講習会

2010-07-01

現在、パシフィックサプライ㈱では「車いすで広げよう」と題しまして、特にお子様の車いすユーザーを中心に車いすの「漕ぎ方」をトレーニングする講習会を開催しております。
講師として、自身も車いすユーザーであり福祉の先進国家スウェーデンにおいて日本人として初めて「車いすインストラクター」として研鑚を積んだ岡野善記氏をお招きし、車いすを楽に効率よく操作する方法を教えていただいています。

車いすインストラクター  岡野善記さん

スウェーデンに渡り、車いすインストラクターとしての研鑚を積んだ初めての日本人。効率よく、楽に車いすを操作する教え方に毎回驚きと喜びの歓声があがる。

車椅子インストラクター岡野善記さん

トレーニングの内容として

  • 「ハンドリムへの手の添え方」「漕ぐときの腕の使い方」などの駆動に関するテクニック
  • 「壁や柱を使って楽に曲がる方法」や「扉の開閉方法」など生活に密着した場面でのテクニック
  • 「キャスター上げの方法」「段差越え」など生活や世界を広げるためのテクニック

を分かりやすい手順で楽しみながらトレーニングしていきます。

一例を挙げると、
車いすを漕ぐ際、ハンドリムの円周部分の短い距離を往復させるように何度も漕ぐようになっていませんか?同時に常にハンドリムを握るようにして操作していませんか?

このような漕ぎ方をしていると、せっかくタイヤは転がろうと動いているのにハンドリムを握ることによって自らブレーキをかけてしまうことになります。また、漕ぐ回数が増えることで疲れてしまったり、長期的に見ると腕や肩を痛めてしまうこともあります。ハンドリムは漕ぎ出しの時や減速してきた時、力を入れる必要があるときなどに握るようにし、漕いだ後に一度肩の力を抜いて円運動を描くように腕を回してあらためてまた漕ぐようにします。これを連続させることで効率よく、楽に車いすを漕ぐことができるようになります。

現在、スウェーデンでは長年車いすを使用してきたユーザーが肩を壊してしまうことが問題になっています。何らかの障害を負って歩行できなくなった人が肩を壊して車いすを自由に操作することができなくなってしまうことは、その人の生活や人生にとってどれだけ大変なことかは想像がつくでしょう。そのためスウェーデンではそうしたことを防ぐために「軽く」て「駆動効率の良い」車いすが求められ、いかに楽に、効率よく車いすを操作するかといったトレーニングも重要視されています。(本場スウェーデンではこのような講習を2週間の合宿の中で行いますが、それを3時間に凝縮して行います。)

ハンドリムに手を添えて

1回漕いだら力を抜きましょう

扉の開け閉めだって簡単

参加されたユーザー様や保護者の方の声

  • 今後の生活に役立つように思う。
  • 少しの時間の間にできることが増えすごくうれしかった。
  • いろいろな技、いろいろな知識、いろいろな世界を知ることできた。
  • 自分も車いすに乗りこどもといっしょに学ぶことができたのが貴重な体験だった。
  •  車いすの漕ぎ方や扱い方をしっかりと教えてもらったことがなかったので大変ありがたかった。

ユーザー様の声にあるとおり、現状車いすを「効率よく漕ぐ方法」や生活に密着した「活用法」を学ぶ場面がほとんどないのではないでしょうか?また駆動効率の良い車いすもまだまだ充分普及しているとは言えません。
車いすを楽に操作するということを覚えずにいると、本人としては疲れてしまったり、できることが少なかったり、保護者としては介助することが多くなったりすることで「車いすは大変なものだ」という認識を必要以上にもってしまうのではないでしょうか?前述の通り長期的に見た時に身体にかかる負担も無視できません。

なんらかの障がいで立つことや歩くことが困難な場合、移動を伴うさまざまな経験をつむ機会が、健常児に比べて、大きく減少してしまう場合があります。

自分で移動することが困難な状態が長く続くと自立心を失い、他人に頼ることが当たり前になり、受動的・消極的になるといわれています。パーソナリティーが急速に形成される低年齢の段階から、自立した移動手段を手に入れることは、その子の心身の成長に良い影響があると考えられています。

子供たちも熱心に話を聞き入っています

段差を越えるには?

キャスター上げ(ウィリー)のやりかたについて

また、たとえ歩行ができる子供でも、移動をするのに非常に時間がかかってしまう場合や疲労を伴う場合、車いすを使用してすばやく移動をしたり、楽に移動したりすることは、その子の生活範囲を大きく広げることに結びつきます。生活範囲が広がると、歩行しなければ行くことができない場所や、歩行したほうが便利な場所も増加します。それが歩行訓練への「やる気」の増加につながるのではないかと考えています。その際に、効率よく駆動する車いすや楽に操作するためのテクニックが身についていないとそういったモチベーションを低下させてしまうかもしれません。

人にとって移動をするということはそれ自体が目的ではなく、何か目的があってそれを果たすために移動をします。移動をすることでできることが増えれば、目的、目標も増えてどんどん世界が拡がっていくのではないでしょうか。

「車いすで広げよう」では車いすであんなことやこんなことなどできることを増やし、お客様の世界を広げることを目的としています。参加された方の人生を豊かなものにしていくためにこれからも活動していきたいと考えております。

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