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パシフィックニュース

連載1 腰痛予防プログラム  

リフト・移乗用具

リハビリテーション

連載1 腰痛予防プログラム  

~リフトの正しい知識と技術~

パシフィックサプライ株式会社 事業開発本部 中村 内彦



2017-12-01

介護リフトの効果的な導入

介護従事者を腰痛から守るには、介護リフトの導入以外効果的な方法がないといわれています。しかし、介護リフト自体も導入するだけでは役に立ちません。


 
大事なのは「効果的な導入」をすること。非常に当たり前の話なのですが、現場を知っている方ほど、この難しさと重要性を理解いただけると思います。その「効果的な導入」を詳しく分析すると「腰痛から身を守る知識」「リフトを操作する技術」「介護従事者自らが自分の身を守るという意識」が必要だと考えています。


 
仮にリフトだけが導入されてしまった場合、結果的にリフトが使用されず埃をかぶってしまっていることも珍しくありません。そうなると介護従事者や利用者の認識としてリフトは“役に立たないもの”と認識されてしまい、結果として腰痛のリスクを抱えたまま日々を過ごすという最悪の事態になりかねません。
 

Safe Patient Handling and Movement ~患者の安全な介助と移動~ 

本書は、患者を安全に移乗するための実用書です。看護師、病院経営者、臨床医、管理者のほか、保健医療現場で患者の移乗介助に従事する人が、不要な負傷を負わない介助の向上とスタッフの腰痛防止に役立つ情報を提示しています

腰痛予防プログラム

その現実を垣間見て、パシフィックサプライでは、昨年より「腰痛予防プログラム」という新しい有料サービスを開始いたしました。

 
「腰痛予防プログラム」はリフトの使い方を教えるという内容に終始しがちな従来のセミナーとは一線を画しています。まず対象としているのは、リフトをこれから導入したいと考えている施設さまではありません。すでにリフトを導入しているにも関わらず、リフトが効果的に導入出来ていないと感じておられる施設さまおよび職員の方々が本プログラムの対象です。

 
この本プログラムの内容は大きく3つに分かれています。
 

1・施設の現状把握と目標を確認するための事前カウンセリング
2・実際の移乗場面に立合い、問題点整理と解決方法の提案
3・腰痛から身を守るために必要な知識を伝えるセミナー

 
特に本プログラムでは2の立合いを重視しています。具体的には、本プログラムは1回の訪問で終わりません。2か月の間に最低3回は訪問をさせて頂き、可能な限り移乗場面に立ち会うようにしております。1件でも多く移乗場面に立ち会うことで、より施設の実態に即した提案が出来るようにするためです。そのため訪問時は、職員の方の迷惑にならない限り少しでも長く滞在させて頂きます。

 
このようにプログラムでは確実に成果を実感していただける内容を目指しています。なお、万が一にでも期待される効果が見られないようであれば、プログラムの費用を返金させて頂くようにしていることも、この腰痛予防プログラムの特徴です。

 

 

腰痛予防介護施設特化型プログラム(パシフィックサプライ)

腰痛予防介護施設特化型プログラム(パシフィックサプライ)

特別養護老人ホームでの実施

今回「腰痛予防プログラム」を実施させて頂くことになりましたのは、兵庫県伊丹市にある特別養護老人ホーム桃寿園さまです。
 
まずプログラム開始前にカウンセリングで訪問を致しました。カウンセリングで重視するのは、施設の現状把握と本プログラムを申し込みいただいた経緯と目的を確認させていただくことです。また職員向けに意識調査のアンケートも実施しております。
 
アンケート結果から伺えた桃寿園さまの目的と経緯は次のようなものでした。
 
元々5年ほど前からリフトを含め移乗用具を積極的に導入し、職員自体もリフトセミナーに参加するなど施設全体で“移乗”の取り組みをされており、それなりに成果を感じておられました。しかし、現状の導入状態に問題はないのかと不安を感じておられたところに、「腰痛予防プログラム」を知り申し込みされたとのことでした。
 
正直なところ、お話を聞けば聞くほど本プログラムが必要なのかと感じるほど、職員方々の意識は高く、実際に機器の積極的な利用を行っておられましたので、弊社スタッフもアプローチに迷いました。しかし、施設内を確認させて頂くと桃寿園さまが導入しておられるリフトやスリングシートは、多様なメーカーのものが混在しており、それぞれの特徴が把握できていないことがわかりました。現状を不安と感じられる原因の一つではないかと考えました。そのため、本プログラムでは実際に使用されている機器の特徴を踏まえたうえで、適切な使い方が出来るように提案させて頂くことから始めることにしました。
 
また、施設内で移乗が発生するのは、13:30~15:00ごろまでが一番多いということで、
今回の訪問はその時間に立ち会えるように調整致しました。


 
 

カウンセリング1

カウンセリング2

カウンセリング3
 

1回目の訪問

訪問後、すぐに実際の移乗現場に立合い、移乗状況の具体的な確認を改めて行いました。最終的に、この日は8人の職員で合計10回の移乗場面に立合いをさせていただいたのですが、いずれの職員もよどみなくリフトを使用されており、日頃から積極的にリフトを使われていることがよくわかりました。
 
一方で、ベッドから車椅子に移乗を行った際、スリングシートを種類問わず敷きっぱなしにしていることが多いこと、リフトやスリングの使い分けを積極的に行われていないことなどが確認出来ました。
 
先ずは敷きっぱなしの件です。
敷きっぱなしが必ずしも悪いわけではありませんが、スリングシートによっては敷きっぱなしに向いていないものがあるのも事実です。逆に敷きっぱなしにするのであれば、それを行いやすいスリングシートもありますので、まずはそのお話をさせていただきました。幸い、桃寿園さまで所有されているスリングシートでも十分対応できるものもありましたので、敷きっぱなしにする場合、それを優先的に使用いただくようにしました。ただ、そうなると単純にスリングシートの枚数が足りません。そのため、取り急ぎ弊社から敷きっぱなしにしやすい“シート型スリング”を貸出、様子を見ていただくようにしました。

次に使い分けの件です。
事前カウンセリングで感じた状況を再確認出来たというのが素直な感想でした。例えば、スリングシートには一般的に「フル」「ハーフ」「シート」といった種類があるのですが、その特性をあまり意識されていないようでしたので、先ずはその整理をさせて頂きました。もちろん基本的なことは知っておられましたので、どのような利用者に、どのスリングシートが、何故向いているのかを具体的にお伝えをすることで、大分整理頂けたと感じています。念のため、リフトの動かし方やスリングシート装着の仕方もアドバイスをさせて頂き、2回目の訪問時に再度様子を確認させていただくことにしました。
 
 
なお、この使い分けに関しては、職員の技術の高さが逆に意識を下げてしまうという皮肉な結果につながったのではないかと感じています。
 
移乗場面の立合い後、30分ほどのミニセミナーを実施させていただきました。このセミナーは、前半が腰痛予防の実態から腰痛予防になぜリフトが効果的なのかということを再認識していただく内容、そして後半は身体を守るための動きの確認をする内容になっております。
 
この身体を守るための動きは、リフト操作に慣れた職員の方でも意識が薄い部分となりますので、参加いただいた方全員に関心を持っていただけたようです。これは毎回実施をすることにしており、可能な限り多くの職員に参加頂くようにお願いをしております。以上で
1回目の訪問は終わりです。
 
次回の訪問で桃寿園さまがどのような変化があったのかは、次回の報告にてお伝えをします。


 
腰痛予防プログラム 問い合わせ
パシフィックサプライ㈱ 事業開発本部 担当 武田・中村
https://www.p-supply.co.jp/

移乗場面での立ち会い

移乗場面でのアドバイス

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