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車椅子おそうじサービス ~KAWAMURA流・障害者就労支援~

車椅子/姿勢保持

その他

車椅子おそうじサービス    ~KAWAMURA流・障害者就労支援~

パシフィックサプライ株式会社事業開発本部 岡田 裕生

2018-02-01

きっかけは お客さまからの こんな声

「車いすをできるだけ綺麗にしてほしい」

パシフィックサプライのグループ会社である川村義肢株式会社の営業担当者が、修理を行うため車椅子をお預かりする際に、
お客様から毎回のように依頼される内容です。

確かに車椅子を見てみると、隙間にホコリが詰まっていたり、タイヤに泥がついていたり結構汚れているものです。

しかし、年間約3,000台以上の車椅子修理を行っている川村義肢の工場では、可能な限り綺麗にするものの、
「ピカピカ」の状態にまで磨き上げるのは、時間的にも人手的にも困難な状況でした。


KAWAMURAグループには、川村義肢株式会社とパシフィックサプライ株式会社の両社員がメンバーとなっている
「車いすメンテナンス プロジェクトチーム」があり、「川村義肢プロメンテナンス」というメンテナンスサービス事業を
行っています。
その会議の席で「車椅子を綺麗にしてほしい」という要望にどのようにお答えするかという議題が挙がりました。

実は数年前から車椅子を短時間で綺麗にするために、様々な道具や洗剤を試し、チームメンバーが試行を繰り返して
いたのですが、狭い隙間に詰まった汚れなどを綺麗にするためには、それなりの時間を要するため、忙しい工場の
人員を使って行う算段が立たずに、なかなかサービスとしての展開が出来ずにいました。


 

わがまち「大東市」で評判の洗車サービス

そんなある時です。

帰宅のために最寄りの駅まで会社のシャトルバスに乗っていたところ、障害のある方の就労移行支援事業所
支援センターさくら」さんで、自動車の洗車サービスをしている光景が目に入りました。
そのことを会社内で話し、いろいろと評判を聞いてみると「ものすごくピカピカになる洗車サービスで人気のため、
なかなか予約がとることが出来ない」とのこと。
すぐさま車椅子の洗車も「お願いできないかな?」ということになりました。

事業所に連絡を入れたところ「まずは職員で作業をして作業内容を確認したい」ということで支援員が2名来社され、
工場で試作業をしていただきました。
作業内容には全く問題がなく、「通所者での作業が可能です。」とのお返事をいただきました。

私たちプロメンテナンスチームの意向として、最初から車椅子を綺麗にすることを「無償のサービス」ではなく
「有償のサービス」にすることが前提にありました。
また、この事業が就労支援事業所に通所する皆様の工賃アップにつながればと考えていました。


ビジネスとして就労支援事業所へ見積りを依頼したのですが、見積金額が申し訳ないくらいに安いのです。
業務に見合った対価を請求してもらうように再見積りを依頼しましたが、返答は同金額でした。

障害のある方が働く作業所や就労サービス事業所の工賃の低さの根本は、仕事の対価意識が一般企業の認識と
大きく異なっていることなのだと感じました。

このことは様々な方が指摘をしていますので、今回はこの点に関して詳しくは触れずにおきます。

 

きめ細やかな作業で生まれ変わる車椅子




数日後、実際に作業をしていただく方々に川村義肢の工場へ来ていただき、試作業をしていただきました。
用意した車体はお客様から廃棄を依頼された、かなり年季が入ったもので、汚れも相当についていました。

私たち車椅子プロメンテナンスチームの指導のもと、作業者の皆さんは集中して車体の掃除に取り掛かりました。
裏側や奥まった部品の細かい汚れにも気が付き、徹底的に汚れを落としていきます。



仕上がった車椅子はまるで別物のように綺麗に磨き上げられていました。
PJメンバーも製造部署の社員も、これにはびっくりして「凄い…!」と感服してしまいました。

作業員・仕上がりの品質、どちらの課題も解決した瞬間でした。

キラキラ新しいサービス開始へ!

「支援センターさくら」に業務委託することで実現した「車椅子を綺麗にしてほしい」というお客様の要望に
お応えするサービスは、『車椅子おそうじサービス』として2017年10月よりサービス事業を開始しました。

障害のある方が、障害のある方へサービスを提供し、対価を受け取る。
このようなモデルは数が少ないのではないかと思います。

車椅子おそうじサービス』のパンフレットをお客様にお渡しし、サービス内容を説明すると、
この点に関して「いい仕組みですね~」と非常に好意的な反応をいただきます。


パシフィックニュースの読者の皆様には少ないかと思いますが「障害のある人に掃除をさせて…」という感情を
持つ人もいらっしゃるかも知れません。

今回、「車椅子おそうじサービス」を委託している「支援センターさくら」さんには、多様な障害のある方が
たくさん通所されています。
一人ひとり障害特性が違うため、同センターの指導員が車椅子おそうじに適している人を選抜して作業を行っています。
つまり、工場へ来て作業をしているのはモノを綺麗に磨くことが得意な方々なのです。


とあるホテルチェーンでは、ベッドメイクを障害のある人が請け負っていますが、その仕上がりは非常に
クオリティが高いものだそうです。

弊社でも、パソコン内の膨大な量のデータをミスなく綺麗に入力する社員や、長時間、等間隔の縫い目で綺麗に
クッションのカバーを縫い上げる自閉症の社員がいます。
後者の社員(女性)は、ものごとに強いこだわりを示す特性がありますが、就労現場ではそういった特性が製品の
高品質を生み出し「戦力」となっているのです。
KAWAMURAグループの障害者雇用率は約4%。様々な業務を障害のある人が担っています。


今回は、弊社の困りごとから『車椅子おそうじサービス』の事業が生まれました。
まさにKAWAMURA流・障害者就労支援です。
仕事にはいろんなカタチがあっていいと思います。



 

キレイな車椅子が、あなたを外へ、前へと連れ出してくれる

車椅子おそうじサービスは1台当たり2,500円。
完璧な仕事の仕上がりを見れば、お客さまも納得して代金を支払ってくださいます。

利用された方からは、
「キレイになって嬉しい」といった声が届いています。


ピカピカになった車椅子を通して、サービスを請け負う人も依頼する人もWin-Win(取引をする双方に利益があること)。
非常に好評をいただいています。

あなたの車椅子も、キレイにしてみませんか?

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かゆいところまで手が届く、キラキラ新しいサービスです

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【参考リンク】電動車椅子定期点検あんしんパック

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