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パシフィックニュース

私の選んだ生き方② ~How to Enjoy life and work~

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私の選んだ生き方② ~How to Enjoy life and work~

パシフィックサプライ株式会社 事業開発本部  関根 彩香

2018-09-18

私は、「頸髄損傷」という障害があり、車椅子で生活しています。
前回に引き続き、弊社に入社してからのことや私なりの想いを綴りたいと思います。

入社して~私だから出来ること~

関東出身の私。3ヵ月間の大阪研修は、人生初の知らない土地での生活でした。
新生活は、不安半分、楽しみ半分。
何もない部屋で、「ここからがスタート」と心躍らせたのがつい昨日のことのようです。

入社して1番の財産は、同期ができたこと。「同期は大事」と聞いてはいましたが、こんなに大きな存在になるとは正直思っていませんでした。個性豊かで楽しい同期たちに支えられて、書写山円教寺という山の上でのバリアフル(バリアフリーとは逆に、障壁が多いという意味の和製英語)な研修も乗り越えられました。年齢も、選択してきた道もそれぞれですが、ここで出逢えたことに感謝です。今後もお互いに切磋琢磨して、社会に貢献していきたいと思います。
 
就職したというと、周囲には障害者雇用だと思われがちです。ですが、KAWAMURAグループでは「障害者雇用枠」がなく、差別なく採用しています。つまり、期待も機会も評価も平等です。
厳しい面もあるかもしれませんが、すべては自分次第で可能性が開かれていると感じます。
 
「期待に応えて、想像も超えていきたい」そんな働き方が目標です。
私自身、障害があるひとりに過ぎませんが、社員として働くことを通して、障害者のイメージを変えたり、周囲に何かしら良い影響を与えることができたらなと思っています。また、これからやりたいことや私にしかできないことも見つけていきたいです。

2018年4月KAWAMURAグループ入社式

入社式にてスピーチ

2018年4月新入社員研修(書写山円教寺)

コミュニケーション機器の担当になって

私自身も受傷後、コミュニケーションには苦労した経験があります。手術後、口には人工呼吸器やら数本の管が挿入されていて、話すことができず、唯一動かせるのはアイコンタクトだけでした。そこで、「はい」の時は瞬きをゆっくりギュッとする、「いいえ」の時は何もしないというルールを作りました。簡単そうに思えるのですが、これがなかなか伝わらずもどかしい思いをします。
 
しばらくして右手が僅かに動くようになってきたため、手首に鈴をつけて鳴らすことが可能になり、「いいえ」の時は鈴を鳴らすに進化。これで少しスムーズにコミュニケーションできるようになっていきます。
 
また、この鈴がナースコールの代わりにもなりました。ICU(集中治療室)なので24時間、医師や看護師の気配があり、急変したらすぐに駆けつけてくれる訳ですが、何かあったら自分で呼べるという手段があるだけで安心感は格段に違いました。
ここで短期間ですが、人生で初めて「伝わらないストレス」を経験し、コミュニケーションの大切さを実感しました。
 
そんな私ですが、入社するまでコミュニケーション機器のことは全くと言っていいほど知りませんでした。まだ勉強し始めたばかりですが、どんなに重度の障害があってもコミュニケーションを楽しんでほしい。「できる、伝わる」という経験をしてほしいと思っています。
たった機器一つかもしれませんが、自分でできることが増えたり、友達ができたり、生活が豊かになったり、その先の「何か」につながる可能性があるのではないかと感じています。

 

障害を負って思うこと

障害を負ってから不自由は感じます。車いすでなければ、行ける場所もできることもあるのも事実。街にこんなにバリアがあるなんて、健常者の頃には気にもしませんでした。でも障害=不幸とか可哀想とは思わないし、思われたくもありません。障害があってもみなさんと同じ、ひとりの人間です。
 
良いこともあれば、落ち込むこともある。得意なこともあれば、苦手なこともある。どちらかと言えば、苦手や時間がかかることが多いのも事実ですが、それが不幸だとは思いません。むしろ障害を負って、当たり前が当たり前ではないことに気づきました。だから「今、ここ」を楽しもうと思うし、全力で生きたいと思います。
 
障害があるおかげで、人の優しさに触れることが増えたり、小さな幸せに気づけるようになったという意味ではHAPPYをより多く感じられているかもしれません。
 
また、同じ障害でも十人十色。例えば、この障害だからこれはできないと決めつけないでほしい。知識があると教科書の枠に当てはめて考えがちになります。でも周り(特に専門職)に「あなたはここまで」と決められてしまったら、それ以上にチャレンジするチャンスも奪われてしまいます。もしかしたら失敗かもしれないし、もう少しできたかもしれない。失敗する機会も奪わないでほしいんです。つい周りの大人が先回りして安全に…と気を遣ってくれますが、失敗からしか学べないことも多いんです。

結果的に難しいねとなったとしても、そこにチャレンジできたかどうかが大切な気がします。

2014年ホノルルマラソン42.195㎞を11時間9分22秒で完走

 

 

2016年ツインバスケット体験イベント

おしゃれをすること

先日、ファッションモデルの経験もしました。ひとりの悩みから生まれた、すべての人に心地いい服」をテーマに、某セレクトショップさんとの商品開発に携わりました。
 
既製服の多くは健常者向けに作られています。そのため車いすだと、着たくても着られない服や座位姿勢だときれいに着こなせない服が多くあります。もう少しこうだったら、ここがこうなっていれば…そんな想いを抱えながらもそれなりにファッションを楽しんできました。ですが、そんな中でもハードルが高く、避けがちになっていたのが「スカート」です。
 
理由は3つ。

1.お尻のシワが伸ばしにくい
自力ではプッシュアップ(お尻を浮かすこと)ができないので、座ってしまってからシワを伸ばすのはすごく難しい。このシワで褥瘡(床ずれ)になることもあります。

2.縫い目で褥瘡になる
仙骨、座骨、背骨に褥瘡経験がある私にとっては最重要課題。ここに少しでも固い縫い目があったら褥瘡のリスクが高まります。ストッキングの縫い目でも褥瘡になるくらい皮膚が弱いので、普段はお尻に縫い目がないように母がリメイクしてくれています。
 
3.風でめくれる不安がある
女性は経験あるかと思いますが、風でめくれそうになったら手で押さえたり、直したりしますよね。ですが私は自力で直すのも難しいし、周りの目を気にしながらお出かけするなんて嫌だなと思いました。
 
そんな私の悩みから2つの服が生まれました。
1つ目は、フレアにもタイトにもなるZIPスカート
2つ目は、気分を選べるレイヤードラップスカート



 
つい最近、手元に届いたので、これを着てどこに行こうかとわくわくしています♪
 
車いすで出かけると嫌でも目立ちます(笑)。周囲の視線が突き刺さるように感じられ、嫌な時もありました。でも好きな服を着ていたり、おしゃれをしていると、少し自信を持てる気がします。みなさんも新しい服やお気に入りの服で出かけるとき、わくわくしませんか?障害があると、おしゃれなんて…と二の次にされがちですが、おしゃれをすることで気分が上がったり、お出かけしたいという動機も生まれると思います。誰でももっと気軽にファッションを楽しめるようになったらいいなと思います。

『ひとりの悩みから生まれた、すべての人に心地いい服』 プロモーションビデオ

画像提供:041FASHION事務局 https://041.world/fashion/

How to Enjoy life and work

私は今でこそ「アクティブだね」とか「楽しんでるね」と言われますが、最初は全然違いました。人見知りだし消極的でなかなか一歩が踏み出せず、終わった後にやっぱり行けば良かった…と後悔することも多々ありました。

でもある時、思い切って外に出てみたら、いろんな人に出逢えて、想像以上に楽しいことが待っていました。誰とも話せずに終わっても、思っていたのと違ったなんてことがあっても、まずは行ってみる・やってみることから始めたら、きっといいこともあります。

それからは、やらないで後悔するのはやめようと心に決め、不安な時は「きっと、なんとかなる」と自分に言い聞かせています。何の根拠もないのですが、大体のことはなんとかなります(笑)。今はたくさんの出逢いに生かされて、どんどん世界が広がっていくことを楽しんでいます。

まだ仕事ではスタート地点に立ったばかりですが、いつか頼りにしていただける存在になれるように、日々自分磨きを続けていきたいと思います。
これから出逢うみなさんとの出逢いも楽しみにしています。一緒に人生を楽しみましょう。



画像提供:041FASHION事務局  https://041.world/fashion/