パシフィックニュース
適寿リハビリテーション病院
病院・施設紹介
2011-01-01
適寿リハビリテーション病院は、回復期リハの病院。患者様にとっては退院後の在宅生活のカギを握る存在です。坂の街・神戸でも、急な坂が目立つ長田区の山の手にあります。直線と曲線を組み合わせたモダンな外観、内装はフロアごとに基本色を変え、ナースキャップをなくすなど「病院」を感じさせない配慮をしています。
〒653-0876
神戸市長田区花山町2丁目11番32号
TEL078-612-5533
FAX078-612-5535
外観写真
病院の理念
■ 人が『生ある限り』、生きる価値を万分の一でも日々享受するための援助を目指す
■病める人が適応できる社会作りに努力する
■ 医学的に確かな基礎に基づいて、日々研鑽を重ね常に心身ともに最高の技術を持って医療に奉ずる
病院概要
会 長 公文 康(日本リハビリテーション医学会専門医)
理事長 公文 敦
院 長 小橋 紀之
(日本リハビリテーション医学会指導責任者・専門医)
病床数 回復期リハビリテーション病棟83床
診療科目 リハビリテーション科 内科医 小児科 アレルギー科
●施設認定
日本リハビリテーション医学会教育研究施設
●施設基準
回復期リハビリテーション病棟 Ⅰ
(重症患者加算、回復期リハビリテーション充実加算、回復期休日リハビリテーション加算)
脳血管疾患リハビリテーション Ⅰ
運動器リハビリテーション Ⅰ
呼吸器リハビリテーション Ⅰ
●併設
訪問看護ステーション・訪問リハ連絡事務所
居宅介護支援事業所
福祉用具貸与事業所
地域包括支援センター
キュアよりケア
「キュア(CURE=治療)よりケア」の同病院がプロジェクトとして一生懸命に取り組んでいるのが職員の腰痛対策です。負荷が特に大きい移乗には、機器を使うことをルールにしています。その取り組みをリハビリテーション科長・理学療法士の栄健一郎さんにうかがいました。
リハビリテーション科長・理学療法士 栄健一郎さん
リフト導入初期
かねてより、この病院は開設当初からリフトの導入をしていました。開設に当たり北欧のデンマーク、スウェーデンを視察した公文康・現会長が「患者様本人と看護師・セラピストの身体を守るために必要」と考え、浴室、トイレ、病室に天井型リフトを6基、床走行型リフトを4台、設置しました。
ところが、浴室のリフトだけは使われ続けていたものの、他のリフトはどんどん使われなくなり、メンテナンス機会もなく、さびたり故障して放置されていました。
腰痛予防対策への試み
一方では職員に腰痛が多発していました。2006年に職員の腰痛調査をしたところ、9割の人が「腰の痛みがある」と答えていました。
この現状に危機感を感じた栄さんは、2006年、天井型リフトを全て修理し、床走行リフトも新しいものに替え、職員に向けて使い方の研修を始めました。それでもリフト使用は広がりませんでした。
再度、リフトについて4問のアンケートを実施しました。
- 使ったことが「ある」 8割
- 安全に使う自信が「ある」 8割
- 使ったら腰は「楽」 7割
- 週に1回以上使っていますか 3割
結果、リフトを使ったら腰は「楽」の実感はあるのに使用頻度が上がっていない実態が示されたのでした。
使用頻度を上げる仕組みをしっかり築こうと、患者様の身体を吊り上げるシート、「吊り具」を統一しました。それまでの吊り具はセラピストが患者様ごとに選ぶため多種多様でした。「標準吊り具」に統一することで手順を簡略化し、先ず職員がリフトを使ってみることを第1の目標にしました。
腰痛予防対策への試み
一方では職員に腰痛が多発していました。2006年に職員の腰痛調査をしたところ、9割の人が「腰の痛みがある」と答えていました。
この現状に危機感を感じた栄さんは、2006年、天井型リフトを全て修理し、床走行リフトも新しいものに替え、職員に向けて使い方の研修を始めました。それでもリフト使用は広がりませんでした。
再度、リフトについて4問のアンケートを実施しました。
- 使ったことが「ある」 8割
- 安全に使う自信が「ある」 8割
- 使ったら腰は「楽」 7割
- 週に1回以上使っていますか 3割
結果、リフトを使ったら腰は「楽」の実感はあるのに使用頻度が上がっていない実態が示されたのでした。
使用頻度を上げる仕組みをしっかり築こうと、患者様の身体を吊り上げるシート、「吊り具」を統一しました。それまでの吊り具はセラピストが患者様ごとに選ぶため多種多様でした。「標準吊り具」に統一することで手順を簡略化し、先ず職員がリフトを使ってみることを第1の目標にしました。
院内浴室
職場内ルールの徹底
さらに、使用マニュアルをA4判1枚に作り直しました。従来の3枚半もあるマニュアルでは誰も読まないと思ったのです。議論を重ね大事な要点だけに絞り、「これとこれをすれば大丈夫」という○×の書き方にマニュアルを再編。この手順書を全員に配り直して研修を重ねていきました。
一方で、まったく視点を変え、「一人で座れない人はリフトで移乗する」という新たなルールを定めました。
この結果、2008~2009年の調査ではリフト使用頻度が順調に上がったのでした。
適正な用具の選択
栄さんは「在宅リフトがなかなか普及しないのはリハビリテーション病院で使われていないからです。せっかく介護保険でリフトがレンタルできるようになり、在宅ケア用具の選択肢は増えているのに病院の用具は種類が少なく選択肢に大きなギャップができています。まず病院が多くの用具の選択肢を持ち、患者様が『これが使いやすい』と用具を体験しておくと、在宅になる際にもきちんと用具を選べるでしょう。リフトも病院の職員がきちんと使えることで患者様のご家族、訪問看護師さん、ヘルパーさんの腰痛を減らせるはず。このことがスタートです」と語ります。
ただ、移乗への対策だけで腰痛はなくなるものではありません。移乗を頂点としてシーツ交換、おむつ交換、寝返り介助など、身体に負担をかける動作はたくさんあります。栄さんも「当病院でもヘルニアなど重症の人は年1~2人は出ている。負担感は減っているが、腰痛自体は減っていません。減る傾向が見えているくらいです」と言います。
他にも、リフト以外の用具を使った負担軽減策を積極的に試みています。ベッドは、半数を電動ベッドに切り替えたほか、患者様の身体を少ない力で移動させるスライディングボード、スライディングシートを利用しています。
特にスライディングシートは必要な患者様のベッドの傍に置いており、家族の方もすぐに使用できる体制にあります。
車いすの7割までを、ひじかけ部を可動式仕様に替えています。患者様も介助者も乗り移り時に楽になるからです。
移乗では、ほとんどの患者様が「リフトの方が楽」と答えます。同じリフトでもシートで支えながら立った姿勢で乗るスタンディング式を試行したところ、「こうして足が床に着く方が安心」と好評でした。立つ姿勢が可能な患者様の場合は、持ち上げる必要がないうえ、足を床に着く方がリハビリ面でも良いからです。
来年度は何台か導入する予定にしています。
園芸療法士が常道し、屋外のリハビリも注力している
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関連情報
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