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パシフィックニュース

国際福祉機器展2022 オンラインしごと体験

AAC(コミュニケーション)

就労支援

国際福祉機器展2022 オンラインしごと体験

株式会社エンカレッジ 窪 貴志

2022-12-15

はじめに

エンカレッジの窪さんとは、数年前より障害者就労支援活動の中でセミナー参加や情報、意見交流などでご一緒させて頂く機会がありました。
3月に開催した就労フォーラムの際に障害者就労の現場に詳しい窪さんに司会をお願いしました。登壇者の話をたくさん引き出してくださり、参加者からの質問にも丁寧に回答して頂きました。
その後、色々とお話を伺っていくうちに、大学生・就活生向けに「オンラインしごと体験」のツールを開発されていることや、障害がある方向けにもこれからツールを開発する予定があると知り、とても興味を持ちました。同時に、国際福祉機器展2022でエーブルネットは「就労」に注力した展示を行う予定があったため、ご協力頂けないかとお願いしたところ快くお受けくださり、来場者に「オンラインしごと体験」をして頂く機会をつくることができましたので、その報告をお願いしました。
 
株式会社エンカレッジは、発達障害のある大学生や既卒生を対象とした就労支援事業を実施しています。関東・関西でのリアルでの支援と、オンラインでの支援を組み合わせて事業を展開している会社です。 
https://en-c.jp/

いつでもどこでも仕事の疑似体験出来るICTプラットフォーム「オンラインしごと体験」

「コロナ禍でインターンシップが減ってしまいました。」
「インターンシップに行ってみたいのですが、今の自分で本当に大丈夫なのか、不安です。」
「地方に住んでいるので企業のことを知る機会が少ないんです。」
こうした声に応えるために、企画したのが「オンラインしごと体験」です。
 
障害のある方を始め、何らかの働きづらさを抱える学生や求職者のキャリア支援において、インターンシップなどの社会体験の機会はとても重要です。しかし、就労準備が整わない、不安が強い、地方に住んでいて社会体験の機会が得られない、コロナ禍による社会体験の場の減少といった背景があり、社会体験の機会が得られない方々も多く存在するのが現状です。
そこで、エンカレッジでは、障害のある方が仕事のイメージをつかみ、自身の得意・苦手や興味・関心の理解を促進する目的で、オンライン上で仕事の疑似体験が
出来る「オンラインしごと体験」を開発しました。居住地域や、障害者手帳の有無といった制約がなく、オンライン上で完結する取り組みなので、全国どこでも個人のペースで仕事の疑似体験に取り組めるのがメリットです。
 
「オンラインしごと体験」は、様々な仕事について、動画で学ぶ【しごとインタビュー】、職場で実際に行われる仕事を体験する【しごとサンプル】の2つのコンテンツで成り立つICTプラットフォームです。【しごとインタビュー】は、社会人の生の声から具体的な仕事の内容や魅力、難しさ、1日の流れなどを聞けるため、世の中にはどんな職業や仕事があるのか、またどんな人に向いているのかを知ることが
出来るようになっています。【しごとサンプル】は、企業で実際に行われる仕事を、30分から実際に作業出来るため自分のスキルや実力を試したり、得意や苦手を把握出来るところがオススメです。現在、60種類以上のコンテンツがあります。
 
 2021年度には、全国の50以上の支援機関や大学と共同で、2,000名の学生・求職者を対象にコンテンツを提供してきました。
取り組んで頂いた方々からは、
「評価されない形で自宅から仕事の体験が
出来るため、安心して仕事に取り組むことが出来ました。」
「仕事を実際に体験することで、自分の得意や苦手の把握につながりました。」
「もっと様々な仕事を体験してみたいです。」
といった声を数多く頂き、得意・苦手や興味・関心といった自己理解や仕事理解につながり、インターンシップ等へのハードル低下や不安解消に対する効果がみられています。
 
オンラインしごと体験 https://shigoto-taiken.com/
しごとインタビュー  https://shigoto-taiken.com/movie/
しごとサンプル    https://shigoto-taiken.com/job_sample/

パシフィックサプライさんと共同制作したコンテンツ

今回の国際福祉機器展2022に向けて、パシフィックサプライの関根さんに協力を頂いて、関根さんの日々のお仕事内容を【しごとインタビュー】で語って頂いたり、実際に関根さんが取り組んでおられる仕事を切り出し、誰もが体験出来る【しごとサンプル】としてコンテンツ化しました。
 
関根さん、お忙しい中、色々とご協力をありがとうございました!
 
【しごとインタビュー】の中で、関根さんには、普段取り組んでおられる仕事内容や、どんなことにやりがいを感じておられるか、配慮を受けることでどんな風に働きやすくなっているか、といったことをお話頂いています。今回の国際福祉機器展のこともお話を頂いているのですが、もともと参加者として参加していたイベントの出展者側になることでの緊張や責任についても語ってもらいました。これだけ大きなイベントの準備は大変なことも多いと思いますが、それでもいつも笑顔の関根さんが素敵だなぁと思いました。仕事を選ぶ際に、「あきらめなくてもいいという感動を買っていただくこと」という当時の会社理念に感動したことや、福祉の勉強をしてきたことを活かしたいということについてもお話を頂いています。障害者雇用というと、企業が「障害者雇用率」を達成するためというイメージがあるかもしれませんが、障害があるかないかにかかわらず、会社理念への共感や、学んできたことを活かすということが大切なのだと、多くの方に伝わればいいなと思います。
 
皆様も是非関根さんの【しごとインタビュー】をご覧ください。
https://shigoto-taiken.com/syinmovie/syinmovie-923/
 
そして、実際に関根さんが取り組んでいる仕事についても切り出して【しごとサンプル】化して頂きました。関根さんは事業開発本部に所属しておられますが、毎月の定例業務として、売上データ資料の作成業務があります。社員の皆さんが頑張って達成した売上をグラフとして見える化する仕事です。

 

しごとサンプルの一例

障害のある求職者や学生にとって、障害のある社会人が、日々、実際にどのような業務に取り組んでいるのかを知る機会はあまり多くありません。
関根さんの仕事の流れや、売上データからグラフを作るまでの実際の作業を、エクセルを使って体験頂くことで、関根さんと同じ仕事を自宅からでも体験頂けます。見るだけではなく、実際に体験することで、より仕事へのイメージを膨らませて頂けるのではないかと思います。やってみると、苦戦することも多くあったり、一方で、社員の皆さんが努力した売上結果を見える化する仕事なので、責任感を感じたりします。パシフィックサプライさんの一員になった気分で作業に取り組んでみて欲しいなと思います。
 
実は、今回の国際福祉機器展2022に先立ち、パシフィックサプライさん以外にも、パナソニックグループさん、奥進システムさん、MS&ADアビリティワークスさん、SMBCグリーンサービスさん、Lixil Advanced Showroomさんなど10社以上のご協力を得て、同じように障害のある社員さんの【しごとインタビュー】や【しごとサンプル】もコンテンツ化しています。「オンラインしごと体験」では、このような多くの企業の皆様の協力を得て、数多くの仕事を体験頂けるようになっています。
 
実際にコンテンツを体験頂けるのは障害のある学生や求職者のみになっていますが、以下のサイトから無料で登録して活用頂けます。
(参考)オンラインしごと体験 https://shigoto-taiken.com/
 
支援機関や学校の皆様による利用もご相談に応じていますので、お気軽にお問合せください。
お問合せ先:https://shigoto-taiken.com/contact/

国際福祉機器展2022での「オンラインしごと体験」のお披露目

さて、いよいよ、国際福祉機器展2022の話に移ります。国際福祉機器展には、支援機関関係者、障害のある当事者の方、ご家族など数多くの方がお越しになられます。そういった方々にパシフィックサプライの商品を紹介するのですが、当日はパシフィックサプライの数多くの関係者の皆様に交じって参加させて頂きました。
パシフィックサプライのブースの中にエーブルネットのコーナーがあり、その一部として、「オンラインしごと体験」のコーナーもご用意頂き、そのコーナーで来場者に説明するのが私たちの役割でした。


当日の様子

昨今のギガスクール構想の中で、支援学校などには多くのハード機器が納入されています。一方で、その機器をどのように活用するかといった活用シーンや実際に活用
出来るコンテンツはまだまだ少ないのが現状です。今回の「オンラインしごと体験」が、障害のある生徒が働くイメージを高めたり、実際に体験してもらいながら必要なスキルについて学ぶソフト面で寄与していけば良いなと考えた上での展示です。
 
余談ですが、私はこのような大規模なイベントに出展側で参画するのは初めての経験でした。皆さんが入念に準備をして当日に臨まれている様子が分かり、運営側に多少なりとも携われたのは大変貴重な経験でした。また、それまで何度かオンラインで打ち合わせをさせて頂いた、パシフィックサプライの関根さんや岡田さん、藤田さんとは初めて直接お会いするということもあり、大変楽しみにしていました。直接、皆さんにお会いしてお話をする中で、想像通り(想像以上に?)、パシフィックサプライさんの優しい文化に触れることが出来たように思います。
 
展示会が始まり、多くの方々がブースにお越しになられ、パシフィックサプライさんのスタッフが来場客とやり取りをしておられる中、私は「エーブルネット&オンラインしごと体験」のコーナーで、関根さんや岡田さんと待機し、お客様が来られた際にサービスの案内をしたり、実際に体験をして頂いたりしました。
 
障害のある当事者の方は体験にお越しになられなかったのですが、就労支援に関わる施設の方がお越しになられ、体験していかれました。資料で見るだけではなく、こういった形で体験頂くことで、皆さんにとっての活用イメージがつくのだということを実感できました。関根さんのお知り合いの方が何組かブースにお越しになられ、同窓会のような雰囲気も感じられる場になっていました。
 
「オンラインで、仕事が
出来るなんてすごいですね!」
「実習をコーディネートするのが難しいので、こんなのがあるといいですね。」
「うちの施設でも使えるかもしれません。」
「関根さんが出ているんですよ。」
「へぇ~、関根さん、こんな仕事をしているんですね。」
といった、関係者の生の声を聞く中で、私の温度感も徐々にあがっていきました。
 
また、展示会の途中で、実際の体験の様子を関根さんと私とで、パシフィックサプライの社員の皆さん向けに生配信することになりました。現場からの生配信も初めての経験でしたが、臨場感があって大変良い経験になりました。どう伝わったかは分かりませんが(笑)。
 
このような形で、国際福祉機器展は終了しましたが、今回はあくまで一つのきっかけです。支援学校などに機器を納めてこられたパシフィックサプライさんですが、その機器が障害のある方の生活場面や働く場面にどう使われていくのか?が大切だと考えておられます。支援機器を活用して障害のある方の就労につながっていくこと、そのための準備に寄与することが、パシフィックサプライさんと当社が協働する意味だと考えます。
これをきっかけに、障害のある方の就労に向けて私たちが
出来ることをしっかりと考え、行動につなげていければと考えていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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