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脳卒中片麻痺でのターボメド使用症例について
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ターボメドを装着し、登山ができるようになった方へのインタビュー
パシフィックサプライ株式会社 事業開発本部
松﨑 裕
2023-01-16
はじめに
ターボメドは靴の外側に装着する新しい歩行補助具です。
靴に専用のクリップを取り付けることで簡単に装着ができ、別の靴への付け替えもすぐに行うことができます。
靴に装着するので利用者は自分の好きな靴を使用することができ、場面に応じて使い分けることも可能です。
また、身体に触れる場所がカフの下腿部のみのため足底の違和感や摩擦による皮膚の怪我をする恐れがありません。
他の装具と異なり、内外反の動きを制限しませんので、方向転換のように回るときや屋外歩行に適しています。
体重制限がなく、下垂足の方の日常生活からスポーツなどの場面まで幅広くサポートします。
今回は脳卒中片麻痺でターボメドを約4年半使用している土井さんにお話を伺いました。
土井さんはターボメドを装着してから登山ができるようになった方です。
【土井さんのプロフィール】
年齢:63歳
性別:男性
身長:176㎝
体重:76kg
疾患:脳血管障害(左片麻痺)
2017年1月に発症
ターボメドをつける前の生活を教えてください
リハビリ病院の入院中に勧められたのはゲイトソリューションです。
「それを買ってください」と言われたので、ゲイトソリューションに決めました。
それと同時に自分でよかったと感じたサポータータイプのアンクルファイターの2つを持っていました。
退院して3か月後に復職しました。
復職した際に「仕事中は大げさに見えないように」「杖もつかないように」と言われたのでアンクルファイターで仕事をしていました。
アンクルファイターだけでは通勤が難しかったので、通勤の際にはゲイトソリューションを使用し、仕事中はアンクルファイターを使用していました。
その当時はゲイトソリューションやアンクルファイターを使用しての登山は、はっきり言って無理だと感じていました。
ターボメドを選んだきっかけを教えてください
入院中、私の弟が装具について色々調べてくれ、ターボメドの動画を持ってきて見せてくれました。
その動画はターボメドをつけて山を登っている動画でした。「これ履けばいいんじゃないの?」という勧めがあったので、自分で確認しました。
実際に川村義肢に伺い、フィッティング・試着して購入を決めました。
現在の使用状況について教えてください
2017年の1月に発症し、半年はゲイトソリューションとアンクルファイターを使用していました。
発症後半年から今現在まで約4年半ターボメドを使用しています。
以前だとゲイトソリューションやアンクルファイターを職場で使用していましたが、60歳の時に退職し、それ以来ゲイトソリューションは使用していません。
アンクルファイターはリハビリをしている時だけ使っています。
もうほぼ生活の基準はターボメドになりましたね。
家の中では裸足で伝い歩きをし、ターボメドは外に出る時に使用しています。
ほぼ毎日使用しています。
登山では高尾山や碓氷峠を単独で登りました。
碓氷峠では800mの標高を登り、150m下りました。
4時間で800m登ったので、結構きつかったですね。
観光地を2時間半歩いたこともあります。
ターボメドはどういったところが良いですか?
ゲイトソリューションやアンクルファイターなどの他の装具では靴の中で装着するので履き心地が悪いということが難点でした。
それに、足のサイズより大きい靴を買わないといけない。
ターボメドの利点としては自分の足のサイズに合った靴が履けるのと、フィット感が段違いに良いということです。
それに、靴だったらなんでもいいということです。
私みたいにトレッキングシューズにつけてみたり、サンダルにつけてみたりできるっていうのは、今までの装具と比べたら革新的だと思います。
サンダルも普通のスニーカーと同じ感じです。
山を登るときには支柱が後ろにドンと一本あるので、安定感があるように感じます。
面ファスナーとベルトの部分はメンテナンスが必要ですが、約4年半使用していても、壊れたりといった問題はなく、そこもいいところだと感じました。
スニーカー
サンダル
製作POより
本来、ターボメドは下垂足・筋力低下の方を対象としているため、脳卒中片麻痺では痙性や内反によりターボメドの対象者とはなりにくいです。しかし土井さんの場合、麻痺の症状が軽度のため、ターボメドを試着していただいた結果、問題ないと判断しました。
何よりご本人が履きたい靴を履けるという点が大きかったと思います。
製作については、靴への取り付け・下腿カフの取り付け加工に関しましても容易に行うことができました。また、日常的に靴を履き替えて生活ができること、靴に取り付けるレースクリップが複数個付いていることが良いと感じています。
あとがき
土井さんの感想を伺い、やはりターボメドの良いところは自分の好きな靴に取り付けられることだと改めて実感しました。
「自分のサイズに合った靴が履けない」「履きたい靴が履けない」という理由により、活動が制限されている方が多くいるのではないでしょうか。そういった方にとってターボメドは改善策の一つになるのではないかと考えます。
障害があるからといって、「スポーツは無理」と感じるのではなく、土井さんのように「装具の選択によってはできる活動がある」と可能性を捨てないでほしいと感じました。
また、必要な人に必要なものが届く、そういった環境になってほしいと思います。
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