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パシフィックニュース

ラッサルクッションの活用法

車椅子/姿勢保持

ラッサルクッションの活用法

パシフィックサプライ株式会社 事業開発本部 技術教育・メンテナンスチーム 岡田 裕生

2012-01-01

パシフィックサプライ(株)は、2003年よりデンマーク製のポジショニング用ビーズクッションである「ラッサルクッション」の取り扱いを始めました。取り扱いを始めてからの9年間で、様々な病院・施設・学校に備品として導入頂きました。

しかし、実際に私共が訪問させていただくと、ラッサルクッションを使用している場面を見る事は非常に稀で、ほとんどの場合は棚や備品倉庫におきっぱなしになっている、という現状がありました。

バナナクッション

Tクッション

使い方が分からない

リハビリテーションの場面などを拝見させていただくと、ポジショニングのために皆さんクッションを使われています。そして、その多くは手作りのクッションでした。「そのクッションの使い勝手が良いのですか?」とお尋ねすると、多くの方は「使い勝手が良くない」とおっしゃいます。

そこで、備品として棚に置いてあるラッサルクッションを使って、ポジショニングの方法をお見せすると、「これは便利だ」というお声をいただきました。

これがきっかけでした。「パシフィックサプライは施設様に対して、製品の供給をしましたが、ご活用いただけるようにフォローアップをしていない。」このことを我々は痛感しました。

ハーフムーンクッション

ネッククッション

備品購入した人がいなくなった

「使い方が分からない」とは言うものの、備品として備えてあるからには購入した理由があるはずです。その点に関してお聞きすると、「備品購入して使っていた人が転勤・退職してしまった」という答えが多く聞かれました。

ラッサルクッションを活用していた方はいたのですが、その方が現場を去ると、そこで活用方法が上手く引き継がれていないのです。この事は、使いこなせればラッサルクッションの最大の利点となる「多様な形状の種類」や「豊富なサイズ展開」が、技術の継承が行われない場合、逆に「使いづらさ」や「とっつきにくさ」を招いていると考えられました。

プリズムクッション

レタンギュラークッション

「価値を継続して伝える」

そこでパシフィックサプライでは、すでにラッサルクッションをお持ちの数施設に伺って、ラッサルクッションの使用法に関する実習型のセミナーを行いました。それと同時に、ラッサルクッションを用いたポジショニング事例の収集を行い、ある程度事例が蓄積された時点で、取りまとめて冊子を作る事としました。教科書のようなガイドブックがあることで、技術や価値の継承が途切れないように出来ると考えたからです。

今回は蓄積を続けている、ラッサルクッションの活用事例の一例をご紹介します。

ウェッジクッション

シットサック

事例1 痙直型四肢麻痺児 軽度屈曲位での臥位保持

股関節に伸展内旋パターンの緊張が強く、内旋位になりやすい方。

  1. シットサック(緑):シットサックを使い、臥位のベースとし、全体的な身体の保持を行う。クッションが体幹をしっかり支えて、広い面積で接触する事で、快適な臥位が取れる。
  2. バナナクッション(黄):頭部の保持と上半身に微妙な角度をつけるために使用する。
  3. Tクッション(紺):大腿の間に挟む様にセッティングする事で股関節の内旋を出にくくする。


【担当セラピストのコメント】
強い緊張の為に、姿勢の修正が時々必要ではあるが、Tクッションの活用により、股関節の内旋位を抑制する事が出来る。

【パシフィックサプライコメント】
シットサックは、座位のベース、臥位のベースの両方に使用することが出来る便利なクッションです。ビーズが変形部分に流れ込み、形状を保持してくれるため。変形がある方でも、容易に座位や臥位を取る事が可能となります。このケースのように、バナナクッションやTクッションと組み合わせて使用すると、さらに快適性を増す事が可能です。

事例1

事例2 痙直型四肢麻痺児の側臥位

  1. Tクッション(青):普段、側臥位時には抱き枕の様な長いボディーピローを利用するが、上肢周りの自由度を低減してしまう為、Tクッションを利用。Tクッションを下肢の安定、保持のみで利用する事で、適度な上肢の自由度を確保する事が出来た。
  2. プリズムクッション(黄):形状を利用しながら、頭部のホールド性を得る事が出来る為、全体的な身体のバランスを維持出来、側臥位時の快適性が向上した。


【担当セラピストのコメント】
身体に著しい変形が見られるお子様であるが、クッションを下肢と頭部といった身体の「マス」に利用する事で全体的な側臥位時の身体のバランスを取りやすくし、不快感や負担が比較的少なく姿勢を保持する事が出来た。

【パシフィックサプライコメント】
このケースでは、マット上でのポジショニングにラッサルクッションを使用しています。もちろんベッド上でこのように使用していただくことも可能です。Tクッションは、股関節の内転を防止するためだけでなく、このように側臥位を取る際にも活用が可能なクッションです。

事例2

快適なポジショニングを多くの方へ

冒頭でも述べたとおり、「ラッサルクッション」はすでに様々な施設様で備品としてお持ちです。棚や備品倉庫に眠っているラッサルクッションを活用して、エンドユーザー様へ快適なポジショニングを提供していただきたいと思います。
パシフィックサプライでは今後もラッサルクッションの使用事例の収集を行い蓄積していきます。機会を見てユーザーの皆様へ情報提供を行ってまいりますのでご期待ください。

事例収集中に頂いた声

? 普段の訓練では、常に体を支えていなくてはならなかったが、しっかり安定した姿勢をとることが出来るので、前方へ回り訓練に専念できる。(OT)
? 様々な形のクッションがあるため、組み合わせで多くの姿勢をとることが出来る。(PT)
?家庭でもご家族が簡単にポジショニングできる(OT)
?包み込まれてリラックスできる様子です。(PT)

ラッサルクッションにご興味が湧いた方へ

この記事を読まれてラッサルクッションにご興味が湧いた方もいらっしゃると思います。ラッサルクッションにはデモ機のご用意がございます。デモ機貸し出しをご希望の方はパシフィックサプライまでお問合せください。また。専任インストラクターによる使い方セミナーも実施いたします。こちらもパシフィックサプライまでお問合せください。日程調整の上、ラッサルクッションを持参して伺います。

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