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AI搭載の歩行支援ロボットKeeogoの持つ可能性と魅力

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AI搭載の歩行支援ロボットKeeogoの持つ可能性と魅力

各国の実例とリハビリ効果

Wistron Medical Technology Japan株式会社 事業推進部
野川 亮介(クリニカルスペシャリスト)

2023-10-16

はじめに



KeeogoはカナダでKeep on going(歩き続けよう)の理念のもと開発され、台湾企業(Wistron Medical Technology社)で製造されている歩行補助機器となります。下半身に装着し、AIによって膝のモーターで動作をサポートします。従来の外骨格補助機器とは異なり、新技術であるダーモスケルトン技術を使用し、より密着し安定したアシストの実現が可能になりました。Keeogoは病気や怪我によって、身体機能の低下、痛み、筋力低下や動きにくさを抱えて生活している人たちへの歩行や生活をサポートし、Quality Of Life(QOL)の向上を図る機器となります。
今回はKeeogoの持つ魅力や効果について実際の症例を参考にご紹介させていただければと思います。

Keeogoとは


Keeogoはベルトに装着しているコントロールボックスに蓄積された歩行や動作のビッグデータからユーザー様の動きに対し、適切なサポートをAIが判断し出力します。
ユーザー様の能動的な動作を感知しサポートをするので、普段とは違う動きを促されます。しかし、その動きに同調していくことで、歩行の協調性や筋肉の働き方をユーザー様が意識的に学習し、歩行や動作の改善に繋げていきます。
主な動きとしては立ち上がり・スクワット・ランジ・歩行といった形でトレーニングしていきます。
またKeeogoは従来の装着型デバイスの中では比較的軽量であり、アシストも強い為、屋外の活動でより効果を発揮します。

症例紹介1 ~オーストラリア~

Aさん
患者紹介
オーストラリア在住のニュージーランド籍のプロクリケットプレーヤー。2021年8月に心臓発作による大動脈解離発症、同年10月、脊髄梗塞発症となり歩行困難に。身体機能の向上目的の為、Keeogoを使用開始。

年齢:50代
性別:男性
疾患名:脊髄梗塞
発症日:2021/8
Keeogo使用開始日:2022/2より週2回60~90分トレーニング実施
Keeogoを使用しての目標:
もう一度歩けるようになって家族と一緒に思い出を作りたい
Keeogoを使用し、1か月後
平行棒内で歩行器を使用しての短距離歩行が可能に


 
Aさん 歩行練習 初期
 

Aさん 歩行練習 中期

Aさん 歩行練習 最終
 

症例紹介2 ~マレーシアRTC~

Bさん
患者紹介
年齢:70代
性別:男性
疾患名:脳卒中
発症日:2021/6 右半身の脱力を伴う、虚血性脳卒中を発症
Keeogo使用開始日:2022/7より60分/計12回トレーニング実施
Keeogoを使用しての目標:
日常生活動作がより自立できるようになる
マンション前の段差を一人で昇降できるようになる
Keeogoを使用し、3か月後
自宅からマンションロビーまでの歩行に四輪歩行器を必要としなくなった
マンション前の段差を一人で昇降できるようになった


 
Bさん 歩行練習初期

Bさん 階段昇降練習

Bさん 歩行練習

Bさん 歩行練習最終
  

症例紹介3 ~日本~

Cさん
患者紹介
年齢:40代
性別:女性
疾患名:L1脊髄損傷
発症日:2004年(スノボーで転倒)
Keeogo使用開始日:2020/9月より月2回60分/計7回トレーニング実施
Keeogoを使用しての目標:
もう一度娘とボーリングがしたい
Keeogoを使用し、7回のトレーニング後
プライベートで家族とボーリングを行う


 
Cさん 歩行練習初期
 
Cさん ボーリング練習
 

Cさん ボーリング実践

さいごに


これらの症例報告からKeeogoは身体機能の補助という側面だけではなく、外骨格による心理的な安心感を得ることで、自発的に新しいことに挑戦しようと思わせてくれる機器となっています。発病当初や今までの自分からは想像もできなかった自分に出会えるきっかけを与えてくれる、それがKeeogoという機器です。

近年、人工知能、チャットGPT等のAIを始め、様々な先進機器が私たちの生活に浸透し始めております。現在日本のリハビリテーションのシーンにもこのような技術の導入が積極的に検討されており、医療機関に所属している医療従事者とロボットの共働により、効率的にリハビリテーションを行うことが可能となります。
またこれらを有効に活用することで、今まで諦めていたことが本当に諦めなくてはいけないものか再度評価し、挑戦する機会を与えてくれます。もちろん機器はあくまできっかけにすぎず、そこに今まで先人が積み上げてきた知識や技術を組み合わせることで、現在のリハビリテーションが今より少し先に発展し、ユーザー様の笑顔が増える未来の一助になることを願っております。
本記事にご興味を持っていただけたのであれば、ぜひ一度実際にKeeogoを体験してみてください。

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