検索

Close

検索したいキーワードを入力してサイト内検索をする

トピックス

『脳卒中患者の治療用下肢装具療法の考え方と活用』オンラインシンポジウム活動レポート

活動レポート

学会・展示会・講習会

『脳卒中患者の治療用下肢装具療法の考え方と活用』オンラインシンポジウム活動レポート

来社事業部セントラル営業・推進課
佐々木 崇

2024-01-24

2023年12月2日(土)、脳卒中患者の治療用下肢装具療法の考え方と活用をオンラインシンポジウムにて開催しました。 114名の方にご参加いただき、内9割の方が初参加でした。脳卒中の治療用下肢装具についての関心の高さが伺えます。ご参加いただきました皆さま、誠にありがとうございました。当日の様子をご報告させていただきます。

基調講演
西宮協立リハビリテーション病院
リハビリテーション科専門医  勝谷 将史 先生
脳卒中患者の治療用下肢装具療法の目的と役割

 下肢装具療法の背景、Dr、PT、PO、それぞれの役割について、脳卒中治療ガイドラインによるエビデンスを解説していただきました。長下肢装具療法は、ガイドラインでは推奨グレードBだが、エビデンスレベル低である事について、現在、職能団体によるエビデンス構築の動きがある。という楽しみな情報共有と共に、下記、治療用下肢装具についてまとめをいただきました。
 
  • 脳卒中リハビリテーションにおいて、治療用装具は重要なツールである
  • 治療用装具の長期効果や学習効果はエビデンスの構築が必要である
  • 急性期から回復期におけるシームレスな連携が必要である
  • 備品としての評価用装具や早期の本人用装具の処方が重要である
 
教育講演

千里リハビリテーション病院
理学療法士  増田 知子 先生
脳卒中患者の治療用下肢装具の活用について

 脳卒中患者に対する治療用装具として用いられているAFO・KAFOについて、期待される効果と エビデンスについて紹介いただき、当院で実践されている後方介助歩行の理論背景と現在の課題をご提示いただきました。KAFOは使用意義から、早期からの導入が重要であり、また、介助を要することが前提なので、治療効果には装具の適合、PTの介助スキルの向上が密接に関連する旨、症例を交えてお話いただきました。

シンポジウム: 脳卒中患者の治療用装具療法の考え方と活用
 後半のシンポジウムでは、勝谷先生、吉尾先生に座長をしていただき、3名の先生方に急性期、回復期、それ ぞれの立場で、長下肢装具療法の実践紹介と課題についてご提示いただきました。
 
急性期での治療用装具の活用の実際
広南病院
理学療法士 大鹿糠 徹 先生
回復期での治療用装具の実際
桜十字福岡病院
理学療法士
久保田 勝徳 先生
部門における治療用下肢装具の個人処方の普及
~セントラルファブリケーションシステムの利用の実際~
大川原脳神経外科病院
作業療法士
田宮 高道 先生
テーマディスカッション
座長:
吉尾 雅春 先生/勝谷 将史 先生

シンポジスト:
増田 知子 先生/大鹿糠 徹 先生/久保田 勝徳 先生/田宮 高道 先生
 
 当日はslidoを活用し、参加者からのご質問をいただきましたので、関心の高かった質問とシンポジストの先生からのご回答を紹介いたします。
Q1.急性期〜回復期〜生活期の連携として、地域連携における情報交換や共有などはどのように実践されていますか?またそのためのコンテンツはどのようなものを使われていますか?装具手帳等を利用し共有されているのでしょうか。取り組みをご紹介いただければと思います。

Answer 1:
いわゆる装具難民の問題も含めて、昨今話題になりますよね。今の時代的には装具手帳といった紙のものはあまりそぐわない気もします。お薬手帳ほど頻繁に情報が書き込まれることはないように思います。装具に関する処方時の情報を何らかの形でデータ化してQRコードなどを添付するなどの案がありますが、そもそものデータをどういった形で格納するか、個人情報としての扱いのハードルなど一筋縄ではいかないようにも思います。本当に共有すべき情報は何か、どこの装具業者が作成したかがわかるようになっていて、そこにアクセスすると処方した医療機関がわかる、みたいな形に落ち着くようにも思います。

Answer 2:
当院のスタッフと一緒に、装具連携の会という連携の場を院外の活動として運用しています。その場では、定期的な研修会の実施や、装具アドバイザー制度の導入といった取り組みを実施しています。装具手帳を導入していますが、紙で管理する限界を感じています。現在、今の時代にあった装具手帳の改良に向けて取り組んでいます。

Answer 3:
当院では、KAFOを作製した患者様が転院する際、転院時サマリーに加え「作製する経緯や練習内容などを記載した装具サマリー」を追加しています。また急性期と回復期の担当者が情報交換できる「一症例検討会」を開催し、ディスカッションする場を設けていました。
 
Q2.回復期に配属されています。経験の浅いスタッフは、正しいアライメントなどを考えずに、エビデンスに基づき、KAFOで歩行するばかりになります。後輩達にアドバイスしていく上で、何か良い声かけなどありますでしょうか?また、実際に取り組まれている治療内容などがありましたら、ご教示頂きたいです。

Answer 1:
バイオメカニクスの基本知識を勉強した上で、「何を目的に」練習していくかを一緒に確認するようにしているようです。

Answer 2:
どのような評価結果に基づき、なぜその治療を選択したのか、それが妥当であるのか、を複数人でディスカッションする必要があるかと思います。

Answer 3:
やはりアライメントは気にして歩行介助した方が良いです。介助者にもたれかかるような後方介助では、体幹や下肢筋力の向上が少ないです。そのため、可能な限り、正常歩行に近いアライメントとなるように介助歩行の指導をしています。指導内容は、リズミカルな介助歩行で、ICでは踵ロッカーを意識してもらい、TStでは股関節伸展角度が増大するように指導しています。また、介助者本人は自分の介助歩行がどのようになっているのか分からないので、鏡を見てもらったり、タブレットで撮影したりして視覚的にも確認してもらっています。その他必要に応じて、筋電計や加速度計、足圧計を用いて数値的な変化を見てもらい、熟練者に近い介助歩行ができるように指導しています。

治療用長下肢装具について(参加者アンケート結果より)

治療用長下肢装具の処方がない理由(その他47%)

注)朱書き:今後のアプローチ策

・必要性は認識しているが、まだ一部に認知された段階。経験のあるスタッフも少ないため。

 ⇒院内で装具勉強会の開催必要

・急性期で作製する風土がない。在院日数が短い
 ⇒急性期では、備品で対応。回復期病棟併設の場合は、急性期で処方してもらい、そのまま回復期で継続使用する。

・必要性について具体的にプレゼンを医師へすることが困難であったり、スタッフがそもそも使用方法について十分に理解できていない者が多い。
 ⇒医師、PT、POの三者が加わった装具カンファレンスの開催ができるよう院内勉強会を実施する。

まとめ

今回のシンポジウムを通して、脳卒中患者への治療用下肢装具の必要性を改めて理解することが出来ました。院内で装具療法を実践していくためには、下記4項目の課題解決が必須です。
 

  • 院内でのリハDrを巻き込んだ、リハスタッフの下肢装具知識の向上
  • 評価用備品(KAFO)の整備 ・POと連携した早期処方装具の納品体制の確立
  • PTの介助スキルの向上
  • 患者、ご家族への装具における高額療養費の説明
弊社では今後も全国の脳卒中患者様にとって、医療ニーズに叶った製品提供と情報の発信を続けて参ります。
 
短納期治療用KAFO問い合わせ先
セントラル営業・推進課 佐々木 崇
090-8797-4375/sasaki-t@p-supply.co.jp
** お気軽にご連絡下さい **
 

関連情報