パシフィックニュース
CMT(シャルコー・マリー・トゥース病)友の会紹介
補助器具
自分らしく生きるために
CMT友の会 役員
菅 義嗣
2024-05-15
さて、今回のパシフィックニュースは弊社製品の「ターボメド」をご使用いただいているユーザー様より寄稿いただきました。
「シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)」という病気をご存知でしょうか。
筋肉の活動を制御する神経と感覚情報を脳に送る神経が侵され、四肢、特に下肢遠位部の筋力低下と感覚障害を示す疾患です。
下腿の筋力が低下して、足首を曲げて足のつま先を挙上することができなくなり、爪先が地面に引っかかって転倒してしまうことがあります。ご投稿現在「ターボメド」を装着して快適に生活されていらっしゃいます。
「CMT友の会」は同じ病に罹られた方たちの情報共有の場として発足、コロナ禍を経て、今回、発足15周年となる交流会を開催されました。活動を通じて病気についてもっと知って欲しい、また当事者同士のコミュニティとして装具の大切さなどの情報発信の活動を続けておられます。
是非、パシフィックニュースを機にシャルコー・マリー・トゥース病(CMT)について理解を深めていただき、また、同じ疾患を持たれた方同士が繋がるきっかけとなりましたら幸いです。
コロナ禍を越えて
2023年10月、コロナ禍を越えて患者会設立15周年となる交流会を、初めて参加される当事者・家族を交え再開することができました。
本会は、シャルコー・マリー・トゥース病(以下CMT)患者の「同じ病気を抱えた人と会って話をしたい」という思いで2000年頃に始めたweb上の掲示版を起点とし、2008年に個々の繋がりから情報・思いを共有する場、互いの頑張りを励ましあう場が必要という強い思いから組織化され、現在の会員数は333名(2023年10月20日)となっています。
コロナで会うことができなかった間もZoomでの交流は隔月で実施しており、物理的な距離という制約なしに交流を持てるというメリットもあり新しい繋がりを得ることはできましたが、実際に会いたいという思いが消えることはありませんでした。
CMT友の会設立15周年の今年、リアルに集まる人とweb参加の方を繋いでハイブリッド方式で交流会を開催でき、新しい一歩を踏み出せたという実感とともに、世代交代はあっても設立当初からの思いが原動力になっていることを確認することができました。
難病CMT
運動しなければ「廃用」による筋力低下が進行し、運動しすぎると「過用」による筋力低下が起きる、という厄介な問題を抱えています。
以前は、過用による筋力低下への懸念から、運動を控えるよう指導する向きがありましたが、最近では廃用による進行を抑えるためにはそれぞれに適した運動を行うことが望ましいと言われるようになりました。
発症時期は、幼少期と壮年期にピークがあるものの発症年齢には幅があり、症状は年単位でゆっくり進行すると言われていますが、現れる症状、進行速度、進度についても個人差は大きく、足底板・サポーターによる補正で生活している方もいれば、装具・杖・車椅子を利用されている方もおられます。
運動(過用と廃用)
CMT友の会の目的
生活の質の向上:
先ず第1に、患者自身が生活の質の向上を目指すことです。発症時期に個人差がありますが、思春期・青年期に病気と向き合うことになるケースが少なくありません。遺伝子の変異に起因し一定の割合で遺伝する病気ではありますが、孤発の患者も少なくありません。そのため多感な時期に「どうして私だけ」と悩む、これもCMTの難儀な一面です。発症時期・症状が現れる部位・症状の進行が多様なため、患者会の年齢構成をみると、幼少期から古希を過ぎても人生を謳歌されている方まで幅広く、これがCMT友の会の強みでもあります。
幅広い年齢層で情報共有することで、孤立し、諦め、難病であることを理由に希望を失い社会への扉を閉ざすのではなく、「一人で悩む」から解放し積極的に社会に出て行って自身の可能性を高めていくきっかけを提供できればと思います。
医療講演
医療の発展:
臨床・遺伝子解析・リハビリ・装具など様々な立場から協力してくださる先生・医療関係の方々に感謝します。交流会での医療講演ではCMTの現状と留意点など、普段診察では聞くことのできない貴重なお話を聞き、小グループでの医療相談では活発な質疑応答で常に時間が足りない状況で、普段情報の少ないことに不安を感じておられることを実感します。始めは別の病気と誤診された、実際にCMTの患者を診るのは初めてと言われた、治らない病気だから・治療方法がないからもう通院しなくていいと言われたなど、残念な話も聞きますが、患者の声を発信することで、CMTに対して知見の深い医療関係者を増やすことを目指しています。
患者として医療機関・研究者に働きかけ、将来的には治療方法の確立に協力したいと考えます。
医療相談
社会認知の向上:
生活の質を向上させるためには、進学・就職など生活環境の変化点で周囲に正しく理解してもらうことが大切です。配慮されないと社会から取り残されますが、一方で過度の配慮は可能性の芽を摘むことになりかねません。CMTのことを正しく理解してもらう・理解者が増えることで「できない」を「できる」に変えることができます。
装具相談
自分らしく生きる
CMT友の会は、当事者同士の交流を通じて、「自分らしく生きるヒント」を見出し、また医療や福祉に頼り切るのではなく、「主体性をもって自身の問題解決」に取り組めるように活動しているピアサポート団体です。
コロナ禍で活動に制限が掛かったことで、リアルに会うことの大切さを再認識できた訳ですが、どのように情報発信すれば良いか、どんなツールを利用すれば良いか、CMT当事者はどんな情報を求めているのか、遠方の患者との物理的な距離を詰めるにはどうすれば良いかを再考する好機となりました。
ホームページ・サイボウズでの情報発信に加え、YouTubeチャンネルでCMT体操・装具紹介などの動画配信、Instagramの活用を開始できました。
新たな情報発信に取り組むことにより、医療関係者・役員・会員間の繋がりが強化されるとともに、CMT友の会の役割を改めて共有することができました。また、新たな協力者の獲得にも繋がりました。
今後も、確立された治療法がないことを理由に医療から切り離されることのないよう、就学・就労・日常生活の工夫など自分たちの経験に基づく情報の収集・発信、当事者同士の交流の場として活動していきます。
新たに始動した取り組み紹介(YouTube配信開始)
CMT体操プロジェクト:
下肢障害があるからと動かないでいると、廃用性の筋力低下により進行が早まる可能性がありますが、病院では適切なリハビリを受けにくいのが現状です。そのため、理学療法士の方とプロジェクトメンバーにより、CMT患者にとって有益なリハビリプログラム「CMT体操」を開発・配信。筋ごとに31種類の短時間でできる体操となっており、自分の体の状態に合わせて取り入れることができます。装具プロジェクト:
患者数が少ないことからCMTについてあまり知らない医療関係者が多く、下肢障害の進行に伴ってどのような装具を選ぶべきか悩んでいる患者が多いため、友の会の設立以来協力を得てきたリハビリ科ドクターの助力により、装具の種類や特性を整理し、実際に装着した様子などを撮影し配信。今回の装具体験でターボメドを試着された方からは内反・下垂足が固定ではなく適度な反発により補正されるので歩行時の負担が軽減される、シーンや服装に合わせて靴を選べるのが良いと好評でした。今後、医療機器として承認され、先生方の認知が進むことを期待したいところです。
CMT友の会 HP https://j-cmt.org/CMT友の会 公式チャンネル https://www.youtube.com/@cmtjapan7820
|
関連情報
© 2017 Pacific Supply Co.,Ltd.
コンテンツの無断使用・転載を禁じます。
対応ブラウザ : Internet Explorer 10以上 、FireFox,Chrome最新版 、iOS 10以上・Android 4.4以上標準ブラウザ