検索

Close

検索したいキーワードを入力してサイト内検索をする

パシフィックニュース

Ossur社 ポストオペプログラム

義肢

Ossur社 ポストオペプログラム

下腿切断者の術後リハビリテーションの標準化の一つの試みとして、今号よりオズールによる下腿切断者リハビリテーションのプログラムを紹介します。

2012-04-01

はじめに

MSS(モジュラー・ソケット・システム)と本プログラム
現在、下腿義足ソケット技術であるMSS(モジュラー・ソケット・システム)技術の導入を日本国内において進めています。
MSSには以下の特徴があります。

  1. 使用する材料(ソケット積層材、注型樹脂材料)を標準化している。
  2. 材料や関連部品を用いる工程を標準化・文書化している。
  3. 製作工程のポイントとなる、採型作業を専用加圧採型治具(Icecastアナトミー)により標準化、数値化している。
  4. 切断端へのシリコーンライナー(Iceross)の装着を前提としているので、切断端の状態も一定程度標準化している。
  5. 切断端に直接積層材を積層し、その後の樹脂注型、加圧採型、樹脂硬化も切断端に直接行うので、事後のモデル修正などの工程が存在しない。結果、作業者によるバラつきが少なくなる。

 

このようにMSSはソケット製作の可視化・数値による標準化を志向したものであり、従来の手技によるソケット製作技術や他の製作技術に代わるものではなく、また、その適合の優劣を論じるものでもありません。
一方、MSSは今号よりご紹介する下腿切断者リハビリテーションの標準化、術後の医療機関におけるリハビリテーションで要求される短納期化の要求をよく満たすものであると考えられます。
今後、下腿切断者のリハビリテーションにおける有効な義足ソケット製作手法として、MSS技術の活用場面が拡大していくことも本稿の目的の一つとします。

写真1

使用方法

このプログラムについて

オズールによる切断後に初めて製作する義足処法で良好な適合を得るためのポストオペプログラムは、下腿切断者に切断から義足適合までの、最良なプロセスの例を示すことを目的としています。
本プログラムは切断者リハビリテーションにプラスの影響を与えるとされている重要なプロセスを網羅しており、切断者ができるだけ短期間で当初のライフスタイルに復帰することを目的としています。
義足が良好であればあるほど、切断者や家族の生活の質は向上します。初めて製作する義足から活動的なライフスタイルを実現する義足まで、オズールは一人ひとりの切断者への義足供給において、幅広いソリューションを提供しています。

下腿切断者に対する術後管理

切断後の回復とリハビリテーションを最良にするためには、治療における多職種連携によるチームアプローチが不可欠です。切断者の治療に携わる全ての関係者が、それぞれの役割責任や担当職務、作業手順についての知識を得ることが大切なのです。

切断者のリハビリテーションは5つの重要な柱の上に成り立っています。

リハビリテーション5つの重要な柱

切断と術直後治療 プロトコールの一例

術直後治療におけるリジッド・ドレッシングの適用

下腿切断後、当初の5~7日間、切断端に対してリジッド・ドレッシングを行うことを支持するエビデンスがあります。

下腿切断者にリジッド・ドレッシングを行う目的

オズール・リジッド・ドレッシング(ORD)

ORDは真空引きによるドレッシング器具で、下腿切断術直後の下腿切断端の固定、保護、浮腫のコントロールを目的として設計されています。切断端の容積と形状に一致する堅い包帯を形成し、切断肢を固定、浮腫をコントロールします。切断肢の固定により、膝関節の屈曲を制限し、切断肢の屈曲拘縮を予防します。切断端の容積を効果的に抑制し、かつ、その容積との一致を保つことで、切断術後の浮腫の増大防止も助けます。切断端をORDで包み込むことで、ベッド上での二次障害や術後リハビリテーション早期の転落により起きる不快感から切断端を保護できます。

次号では、ORDを用いた切断後の断端管理プロセスの詳細を紹介いたします