検索

Close

検索したいキーワードを入力してサイト内検索をする

パシフィックニュース

介護療養型老人保健施設におけるリフト活用の取り組み

リフト・移乗用具

介護療養型老人保健施設におけるリフト活用の取り組み

介護療養型老人保健施設におけるリフト活用の取り組み

JA長野厚生連鹿教湯三才山リハビリテーションセンター 介護療養型老人保健施設いずみの 北原 博文

2013-07-01

介護療養型老人保健施設の現状

介護療養型老人保健施設では、平成24年度入所利用者の平均介護度4.06、日常生活自立度B2以上が60%以上と身体介助の重度化がみられ、移乗介助時の利用者・介助者共に身体的負担が増加しています。同年4月~9月までの移乗介助中による皮膚損傷等の報告件数は7件報告され、無理な引き上げ動作や強引な介助が要因と考えられました。

また、職員の腰痛も多く聞かれ課題と感じていました。そこで誰もが同じレベルで安全に移乗介助ができることが必要と考え、介護福祉士3名、看護師2名、リハビリスタッフ2名の計7名でサークルを立ち上げました。今回は、介護労働環境改善を目的とした活動の経過を報告します。

リフト使用の現状

以前から各入所階に床走行式リフトが2台ずつ設置されていましたが、多忙を理由に活用されていませんでした。パシフィックサプライ社の協力もいただき、リフトの使用状況(平成23年8月~平成24年9月)を調べた結果、1日のリフト使用回数は平均6.54回でした。
※ リフトモーター作動総時間÷車椅子からベッドのリフト移乗所要時間1回あたり40秒と換算。

また、リフト使用のニーズについては、全入所者に対しリフトを使用した方が良いと思われる回数は、1日平均38.57回でした。需要があるにもかかわらず使用していない現状に、リフト活用の推進が急務であると改めて感じました。多忙な業務の中でも、『利用者にとって安全な移乗介助を誰もが同じレベルで提供できる事』『介護者に対し安全な移乗環境の整備』を目的に、移乗用リフトの活用推進に取り組みました。

QCサークルの立ち上げとリフター推進の取り組み

平成24年6月にフロアスタッフを中心としたQCサークルを立ち上げました。活動期間は平成24年6月~平成25年1月。対象者はフロア勤務の看護師14名、介護福祉士18名、理学療法士・作業療法士・言語療法士3名です。自記式質問調査用紙を用いリフト活用取り組みの前後でアンケートを実施しました。質問項目は、対象者の所属・リフト使用の動機・移乗介助時の痛みの有無としました。

リフト推進への取り組み

現状把握をしていく中で、図1で示したように安全への配慮の気持ちがあるにもかかわらず、多忙を理由に使えていない現状がわかりました。サークル活動は、それらを踏まえた上で対策を立案しました。最初に、パシフィックサプライ社の営業担当者へ専任講師を依頼し、リフト研修を行いました(写真1)。参加したスタッフからは、普段あまり考えず使用していたが、スリングシートの装着手順や注意点を聞く事ができ良かったという意見が聞かれました。

次に、リフトの動作手順をマニュアル化し、いつでも確認できる様にリフト本体に掛けました。夜勤中の看護師からは、マニュアルで再確認ができるので助かるといった意見が聞かれました。

継続的な取り組みでは毎週1回、リフトカンファレンスを実施し、利用者選定や困難な事例を検討しました。リフト設置場所やリフト利用者が分からないといった意見に対しては、『設置場所を表示し、入浴表や業務表にリフトを記載し見える化』を図りました。またリフト活用の啓蒙活動の一環としてポスターを作成・掲示しました。

図1 リフトに対するスタッフの思い

写真1 安全なリフト操作の指導

取組みの結果(職員アンケート・リフト使用回数)

  1. 取り組み前アンケート
    回収率97.1%
    有効回答率88.2%
     
  2. 取り組み後アンケート
    回収率97.1%
    有効回答率76.4%


対象者属性は、年齢は20歳代25%、30歳代37.5%、40歳代25%、50歳以上12.5%
平均経験年数9.82年、性別は男性6名、女性28名。

アンケートの結果から、リフト使用頻度の前後を比較すると、毎回使用が40%から54.5%に増えていました。リフト使用の動機についても、便利だからが20.6%から38.2%に増えており、リフト研修やポスター掲示による教育啓蒙活動の成果であり、入浴表や業務表にリフトマークを表示した事で、職員への意識付けが出来た結果と思われます。

また、取り組み後のリフト使用回数についても調査した結果、前回のデータでは、リフト使用回数1日平均6.54回でしたが、今回は、16.25回に増えていました。これは、リフト設置場所を明確にすることで、限られた台数のリフトを効率よく使用できる環境が整えられたと考えられます。図2で示すように、使用していく中で利用者からは「機械の方が痛くなかったよ」といった意見や、ご家族の方から「こんなに便利なものがあるんですね」といった感想が寄せられ、利用者・ご家族からも安全・安楽な移乗介助の意識が高まったと考えられます。

図2 利用者、ご家族から

今後の課題

今回、サークルを立ち上げ介護労働環境改善の一環としてリフト活用を推進してまいりました。介護現場では多忙の中ではありましたが、困難な状況でもチームが一丸となって取り組んでいく事の重要さを再確認する事ができました。今後の課題としては、リフトなどの介助支援機器の充実を図り環境整備をする事と、更なる職員への教育啓蒙活動が重要だと感じています。

関連情報