パシフィックニュース
ドミノクッションの可能性を広げたい!
車椅子/姿勢保持
リハビリテーション
パシフィックサプライ株式会社 事業開発本部
杉本 昌子(シーティングエンジニア)
2019-04-01
私がこのクッションと出会ったのは、弊社取扱い製品であるイギリスのメーカー『V-Trak社』のセールス担当者に「いつもV-Trakとどんなクッションを組合わせてるの?」と聞いたことから始まりました。
彼はすぐさま、クッションのサイトを教えてくれて、商品を見た瞬間一目ぼれです!「そうそうこんなクッション欲しかったんだ」と返すと、彼はメーカーともコンタクトを取ってくれて、それからこのドミノクッションの製造メーカーのProMedicare(プロメディケア)社との交信が始まりました。
一番、気に入ったところは、骨盤の回旋にも柔軟に対応できるところ、従来のアンカー位置を左右で変更できないものと違って、左右非対称のサポートを簡単に作れるところです。
そして、骨盤の前滑りをアンカーサポートだけで支えようとする従来の考え方とは違い、骨盤を前方・側方・後方からの支えを作ることで、安定させるという考え方で、無理なく一人ひとりにフィッティングできると感じました。
そんなドミノクッションメーカーからの資料を基に、もう少し詳しくご紹介していきます。
ドミノクッションについて
ドミノクッションはイタリアのProMedicare社の商品で、VersaInsartoというブランドの中の一商品です。画像のようにパッドを組合わせて形状を作るクッションは、ドミノクッションを含んで8種類もあります。対象者によって使用するクッションが異なりますが、弊社では一般的に脳性麻痺の方に使いやすいドミノクッションを採用することにしました。
PTS(Pelvic Total Support)
これまでのクッションとは違い、PTS(Pelvic Total Support)という考え方で作られています。
PTSの考え方として、骨盤は、前部(坐骨結節の前)・外側(大転子の下)・後部(尾骨、仙骨、腰椎、)の支えにより安定し、男性と女性では支持の仕方が異なっていなければなりません。
方法論として、解剖学的構造を担う、脚・骨盤・脊椎(尾骨・仙骨・腰椎)の関係性を整え、バランスを取り、変形に対しても柔軟に対応できることにより、骨盤が安定することで前滑りを防止し、横方向・後方向への安定を増加させます。
フラットベースから始め、常に変更可能なモジュラーシステムを構築します。組み立て時に独立した成形済みインサートを使用し、着座した人体のあらゆる形状、サイズ、形態に適応します。
素材
姿勢コントロールを可能にする構造と材料は、さまざまな密度のポリエチレンフォーム製のフラットベースとインサートで構成されます。これによって、振動吸収・簡単調整・軽量化が図れます。
パッディングフォーム
パッディングキットは、圧力分布と快適な知覚を可能にするデザインと素材の組み合わせで出来ています。連続気泡構造体により振動と衝撃吸収を可能にします。
形状記憶フォームを使用することで、ボディ形状にフィットし、ソフトな感触を得ることができます。後方は2層、前方は1層構造です。クッションのサイズにより異なる厚さと密度で設計されています。また、接着剤の使用も削減しているので身体にも環境にも優しいです。
インサートドミノ
ドミノクッションは10種類のインサートで構成されています。これらのインサートを左右で組合わせて自由に形状を作り出すことが可能です。
セッティング事例
それではセッティング方法についてご紹介します。
インサートのセッティングを行うまえに、プラットホーム上などで骨盤位置の修正が可能なのか、それとも修正せずに変形に合わせる方が良いのかを、評価してください。
<ウィンドスウェプト>
骨盤と大腿部の位置をシフトしてセッティングすることが可能です。
<股関節外転位>
股関節が外転している場合は、外転防止と内転防止を組合わせてセッティングしてください。
<股関節内転位>
股関節が内転している場合は、外転防止でのセッティングも可能です。
<骨盤後継位>
骨盤が後傾している場合は、それ以上後方に倒さない(倒したくない)位置にインサートをセッティングしてください。
<骨盤傾斜>
骨盤の傾斜が戻せない場合は、傾きに合わせてウェッジを追加してください。
<骨盤回旋>
骨盤が回旋している場合は、左右のインサートを非対称にセッティングして適切な位置に大腿後面のサポートを作ってください。
<骨盤回旋による脚長差>
骨盤回旋による脚長差がある場合は、先の骨盤回旋に合わせて、大腿部遠位部も非対称にセッティングしてください。
事例
さて、使うイメージが湧いてきましたか?
続いて、簡単な事例をご紹介します。
使用前
・利用者 年齢28歳 脳性麻痺
・骨盤後傾位で伸展パターン、筋緊張強
・利用者所有の車椅子、特殊空気室構造クッション使用
・座圧測定(左/筋緊張始) (右/筋緊張終)
☆(左)適切な場所で体重を受けておらず、右側にやや傾いた状態となっている
☆(右)緊張がやや緩み、尾骨・仙骨で体重を受けていることがわかる
使用後
☆座面の体重支持部にメリハリができた
☆大腿部による体重支持ができ、骨盤後傾傾向も減少されている
☆時間経過後、坐骨結節部の圧がやや高く見えるが、数値的には問題はなく、左右のバランスが整っていると言える
座圧測定の比較
・T1特殊空気室構造のものを使用、T2ドミノクッションを使用、T3ドミノクッション導入後10日
☆一般的な特殊空気室構造クッションでは、骨盤・大腿部の支持面にメリハリがなかったものの、ドミノクッションを使用することで、支持面にメリハリができ、左右均等に圧が掛かっている(バランスが整っている)ことがわかる
☆10日間使用後、クッションと支持部とが馴染み、より圧分散が図れている
まとめ
事例からも、圧分散の効果だけを求めて、クッションの選定をするのではなく、座位のバランスを整えることで、適切な位置で体重を支持し、必要以上の圧を坐骨結節や尾骨・仙骨部分に掛けないようにすることができると考えます。
これまでのクッションで、バランスが取りにくいと感じている方、長時間座っていると姿勢が崩れてお尻が痛くなるという方、座面を安定させてもっと動きやすい環境を作りたい方へ、ぜひ一度ドミノクッションをお試しください!
デモ機もサイズ限定ではありますが、ご用意がありますので、詳しくは製品ページをご覧ください。お問合せなどは、お気軽に!
ご連絡お待ちしております。
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