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パシフィックニュース

24時間の生活の中でラッサルクッションがもたらすもの

車椅子/姿勢保持

環境整備

24時間の生活の中でラッサルクッションがもたらすもの

保健師 濱田 知加

2022-05-16

自己紹介

私の娘は10歳、小学4年生です。福山型筋ジストロフィーと重度聴覚障害の重複障害があります。自力では座位姿勢を保持できず、寝返り介助も必要な状態です。
今回は、私自身が保健師でもあり、娘を育てながら「日々の生活の中で様々な適切な姿勢をとること」が重要と感じており、ラッサルクッションが私たちの生活に及ぼしてくれた影響について書いていきたいと思います。

ラッサルクッションとの出会い

ラッサルウェッジクッション黄色(L)

ラッサルT-クッション紺色(L)

ラッサルバナナクッション黄色(L)

腹臥位ウェッジ

腹臥位ウェッジ2


私がラッサルクッションと出会うきっかけになったのは、1枚の写真でした。当時3歳だった娘が児童発達支援・放課後等デイサービス(以下、デイ)で、クッション上でうつ伏せしている写真を見たのです。
私は「え?これは、本当に娘のうつ伏せの顔?うつ伏せは嫌なはずなのに、なんでこんなに気持ちよさそうにしているの?このクッションは何ですか?」とデイの職員さんに聞きました。
それがラッサルクッションとの出会いでした。
腹臥位の重要性はわかっていたものの、障害のある娘はなかなか家では進んでうつ伏せをしようとはしませんでした。なので余計にその写真を見て「このクッション、すぐに購入したい!」と思ったのです。・・・が、お値段を聞いてびっくり(苦笑)
それでも気になった私は、デイの職員さんからラッサルクッションの特徴をお聞きし、自分の体でも試してみました。
ラッサルクッションは、内カバーの生地と中のビーズに工夫を凝らしているため、形が決まりやすいのが特長。娘の体の特性は、股関節が固くなり、足を伸展するのが苦手な傾向にありました。
ラッサルクッションは、そんな娘の体にも合わせやすく=ちょうどよい塩梅=にしてくれるクッションでした。
結局、その時はウェッジクッション黄色(L)とT-クッション紺色(L)を自費で購入しました。
そして購入したクッションは、娘の通っている聾学校幼稚部に置いてもらい、毎日使うようにしました。

座位ピアノ

ウェッジクッションは、うつ伏せ以外にも立てて「椅子」のような形で使用していました。娘はうつ伏せでの使用よりも立てて椅子のようにして使う方がお気に入りでした。ここでもラッサルクッションの特性が活きたおかげで、クッションが娘の体に合わせてくれるため、座位姿勢の時もとても気持ちよさそうな顔をして使用しています。当時は、T-クッション紺色をテーブルのように娘の膝の上に置いて、ままごとをするのが大好きだったようです。このように、幼稚部で過ごし始めた3歳からいろいろな場面で使用しましたので、お値段の元はとれたと思っています。
私は、娘の通っていたデイが「様々な姿勢を幼少期からとらせていく重要性」を知識としてもっており、それを実践してくれていたことが、娘の過ごす環境を整えていくことにつながってきたと感じています。

腹臥位ウェッジ

腹臥位は、腹側を面で支持できるため、姿勢が安定しやすい・下顎や舌根がおちにくい・背側の肺にある痰を出しやすい・分泌物や痰を出しやすいなどのメリットがあります。デイで過ごす時間に、腹臥位を意識してとらせてくれていたことを今でも本当に感謝しています。
私は腹臥位をとれるメリットは、特に娘が体調を崩した時に顕著に感じています。
娘は肺炎になったことはほぼありません。普段の生活で腹臥位に慣れたおかげで、具合が悪い時には、自ら進んで腹臥位をとりたがってくれます。
 
そして、小学1年生になった頃、急に身長が伸びたことをきっかけに、ウェッジクッションでは丈が足りなくなってきたので、バナナクッション黄色(L)を追加して使用するようになりました。バナナクッションは、当初はうつ伏せで使おうと思っていたのですが、実際に購入してみるといろいろな場面で使えて重宝しています。

仰臥位ギャッジアップ

特に、小学3年生で胃瘻造設手術をしてからは、(娘は少し胃からの逆流もあるため頭の方を高くして注入することが望ましい)電動ベッドでリクライニングした姿勢の時にバナナクッションがちょうどよく娘の体幹や股関節周りをサポートしてくれます。

ベッドでiデバイス操作

進行性の難病で、徐々に筋力低下がでてきており、手や肘を上げにくい娘の肘をサポートしてくれるため、iデバイスでYouTubeを見ながらリラックスした注入ができています!

側臥位腕クッションなし

また筋力が弱い娘は、側臥位で寝る時、写真のように何もサポートがないと上肢の重みで胸郭がつぶれがちで、頸部へもねじれる力がかかっているのがわかります。

側臥位腕クッションあり

写真のように、上腕部をクッションで支持することで上肢の重みを分散してくれるので、とても気持ちよさそうで、頸部のねじれもなくなりました。

側臥位バナナ

また下肢に関しても、両大腿部の間にクッションを挟み、大腿部の傾きを改善させてくれるし、上側になっている足自体の重さをバナナクッションが分散してくれるので、気持ちよさそうにしています。

プールでのラッサルフロートクッション使用


フロートクッション使用例
 
娘の通っている学校には、プールの授業用に備品としてラッサルフロートクッションがあります。従来の浮具とは異なりクッション内に水が入る仕組みになっているため娘の体にフィットしてくれてプールでも心地よさそうに使用しています。

リフトとの併用事例

我が家は、娘が小学1年生になった頃、娘の居室に面タイプのリフトを取り付けました。『障害は環境と人との間に生じるもの』なので、環境の方を娘に寄せていき、彼女自身が過ごしやすい空間を作ってあげたいと考えたので、早めにリフトを利用し始めました。
 

腹臥位リフト

娘の体重は現在21.5キロですが、もっと体重が増えてきても、リフトとラッサルクッションを併用すれば、親一人の力でうつ伏せ介助が可能です。

前述のように、ラッサルクッションには「形が決まりやすい」という特長があるため、娘の胃瘻部分にあたるところにはくぼみを作っておき、それからうつ伏せをさせています。

購入に関して思うこと

このクッションは高額なので、購入に踏み切るには保護者の方にとって勇気が必要だと感じています。私は、偶然にも運よく娘の通っていたデイがこのクッションを使用していたため、娘の写真の表情から、このクッションのよさを直感的に感じました。福祉機器展などでほんの少しの時間試しただけでは、購入には至らなかったようにも思います。

でも実際に購入してみて、私は「よかった」と思っています。
理由は「快適なリラックスした姿勢を作れること」、「上述したように低筋力な娘にとって、体の重さ自体が関節の変形などをもたらす 二次障害 がでてくる可能性を予防してくれていること」です。
私は、高額だけれど将来の娘への投資と思っています。ただ、本音を言うと親が勇気を出して購入しなくてもよいような世の中になってほしいと思います。
行政の補装具費支給制度は、座位保持装置や他の物で枠を使うため、なかなかラッサルクッション購入には使えない場合も多いということも初めて知りました。
実は、今年になってから3歳から7年間使用してきたウェッジクッションが徐々にヘタってきて、形が決まりにくくなってきたため再購入を検討していました。その際パシフィックサプライのホームページをのぞくと「サブスクリプションサービス」ができていることを知り、早速問い合わせをしてみたのですが、残念ながら法人向けサービスなので個人では利用できませんでした。

個人向けのサブスクリプションサービスがあれば、試してみた結果よかったら購入する方も増えるのではないかと思います。
また、娘は発語はないものの、自分の意志をはっきり示すタイプなので、春・秋・冬はラッサルクッションを好んで使用しますが、暑くなる夏は、少し熱がこもるのであまり使いたがりません。難しいかもしれませんが今後、冷感カバーや熱がこもりにくい製品開発にも期待します。



 

オンライン相談

ここ数年のコロナ禍の影響で、対面で相談する機会がなくなってしまったので、今回、初めて訪問リハビリのスタッフと共にパシフィックサプライのオンライン相談を利用してみました。実際に娘の体やクッションを動かしながら相談するので、変化を体感することができます。コロナ禍以前は福祉機器展などで気軽にできていたことが難しくなった今、オンライン相談はぜひ利用してみる価値はあると思います。オンラインがあることで、機器展開催がない地域の方でも、出かけることが困難な方でも相談できます。

オンライン相談後

胃瘻からの栄養注入の姿勢をとる時体が下にズレていかないように、私はバナナクッションを膝下に入れるようにして使用していて、お尻の下までクッションを入れ込んでおらず圧がかかっていました。オンラインで相談した結果、しっかりお尻の下にもクッションを入れ込むことで、浮いてきた膝から下腿の空間にT-クッションを入れることでしっかり安定した姿勢をつくることができました。

お兄ちゃんと一緒

最後に、障害がある子どもを支援するもっと多くの方々が、様々な姿勢をとることの重要性を知ることも必要と感じます。褥瘡予防目的で、仰臥位・側臥位などを実施するのみではなく、腹臥位も含めて、日常生活の中で様々な姿勢をとることは重要です。将来の変形・拘縮・筋緊張の亢進等を最小限に留める、そして日々の姿勢が二次的な問題を助長していないかどうかを考え、それぞれのお子さんに合った姿勢をサポートする福祉用品を検討していっていただきたいと思います。

ラッサルクッションに関するサービスのご案内

濱田さまとはいつも年2回開催される福祉機器展でお会いして、お困りごとなどをお聞かせいただいていたのですが、コロナ禍により展示会がオンラインとなった今、なかなか直接お目にかかれない状況が続いていました。そんな中、長年使っているクッションが前のように形が作れない、というご相談があり、確認すると7年ほど使ってくださっていてヘタリがあるとのこと。ラッサルクッションの耐久年数は5年とされており、買い替えのタイミングと判断しました。
やはり、個人で購入するには負担も大きいので、お試しレンタルや個人利用のサブスクなど、様々ご要望もいただきました。現状、ご利用いただける弊社のサービスについて、簡単にご紹介します。

 


【 1か月お試しレンタル 】
~困難事例へのアプローチ~ ラッサルクッションを用いたポジショニングの提案
購入する前に、1カ月間デモ機をご利用いただけるサービスです。貸出し期間中にオンライン相談も受けていただくことが可能です。使う前や使っている中でのご質問など、専任担当者とカメラを繋いで、リアルタイムでご相談が可能です。

実際にオンライン相談を行っている様子は、こちらの動画でご覧いただけます。
>> オンライン相談の様子 
 
【 法人向けサブスク 】
~パシフィックがサブスク~ ラッサルクッション/法人向け
こちらは法人の方のみがご利用いただけるサービスです。いきなり施設や法人が備品として持つよりも、月々定額でご利用いただけるようご提案しております。こちらでも、お使いいただいている期間、専任担当者によるオンライン相談を受けていただくことが可能です。また、職員教育としての教育用動画コンテンツも視聴可能と商品だけでなくサポートも充実しています。
 

姿勢管理特設ページのご案内

弊社では、お子さまから高齢の方まで、全ての方を対象とした姿勢管理にまつわる情報を特設ページにまとめております。

24時間姿勢管理 にも触れ、商品をご提供して終わりではなく、ポジショニングのポイントや施設内での姿勢管理の取組み方など、広くご相談させていただきます。お客様と末永く繋がっていたい…そんな想いから様々なサービスをご用意しています。ぜひ、特設ページもご覧ください。

>> 姿勢管理特設ページはこちら 

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