パシフィックニュース
短納期治療用長下肢装具を全国へ!
装具
リハビリテーション
画像トレースにより、1週間納期を実現しました!
パシフィックサプライ株式会社 札幌営業所
佐々木 崇
2023-05-15
はじめに
「脳卒中治療ガイドライン2021」において、
- 亜急性期以後に、歩行機能を改善させるために、頻回な歩行訓練を行うことが勧められる。(推奨度A エビデンスレベル高)
- 脳卒中後片麻痺で膝伸展筋力もしくは股関節周囲筋筋力が十分でない患者に対して、歩行機能を訓練するために長下肢装具を使用することは妥当である。(推奨度Bエビデンスレベル低)
しかし、全国では、評価用長下肢装具はリハ室に設置されていますが、治療用として、長下肢装具が処方されている病院はまだまだ少なく、納期に関しても、1週間~3週間と地域格差も目立っております。
また、装具の仕様に関しても「歩行機能を訓練する為に」という、リハ現場の要求事項が反映されていないケースも散見されます。
そこで、弊社で開発した画像トレースにより、歩行訓練に特化した仕様で短納期化を実現した装具提供サービスを開始しましたので、ご紹介させて頂きます。
治療用長下肢装具処方の現状と課題
弊社では、評価用備品長下肢装具として、ゲイトイノベーションを約820の病院に導入させて頂きました。弊社調査では、その内、77%の施設が備品装具で歩行訓練を実施し、個人用治療用長下肢装具の処方をしている施設は、23%でした。
- 備品で訓練できているので必要性を感じていない。
- オーダー装具は納期がかかるので処方していない。
- 長下肢装具は高額で経済的負担が大きいので勧めていない。
画像トレースによる短納期治療用長下肢装具
採寸~製作~納品までの流れ
弊社オリジナルの画像トレースを使用して、参院している義肢装具士が採寸したデータを弊社に送信⇒設計⇒製作をし、仮合わせのプロセスを省いて、1週間で納品するという流れになります。画像トレースと採寸
- 義肢装具士が患者様の下肢画像をスマホで撮影
- 足部のトレースを記入
- 採寸用紙の必要採寸箇所の寸法を記入
- 上記3点のデータを携帯メールで弊社工場に送信
- 上記受信後、CAD図面を作成しPOに返信、確認いただく
短納期治療用長下肢装具のメリット
採寸
- リハビリ室のプラットホームなど場所を選ばず採寸が可能
- 患者様への身的負担軽減
- 採寸の時間短縮で、患者様のリハビリ時間の確保
適合
- 早期から長下肢装具を使った歩行訓練が可能
- 備品よりも適合が良く、患者様、介助者の負担が大きく軽減
- ご本人様の装具を持つことで、装具歩行時間と量を確保
画像トレースを実際に導入されている病院様からのご感想
札幌白石記念病院 安部陽子先生より
当院は備品KAFOが14本ありますが、使う症例ごとに長さを調整したり、重複する場合はリハ時間を調整したりする必要がありました。処方KAFOは本人用なので軸もフィットし、同じ1歩でも適切な筋活動を得ることが分かりました。また、介助が軽くなる利点からPTの疲労を抑え、歩行量も増加します。これらを1週間の納期で手にすることができるこのシステムは、必要な時期に最適な歩行練習を実現できる画期的な取り組みです。歩行再建の第一歩として、多くの患者さんの元へ届けられることを期待します。
おわりに
今回は、脳卒中における治療用長下肢装具の納期と役割についての課題解決の一案として、ご紹介をさせて頂きましたが、その次に多いご質問は、装具の価格についてです。
この課題に対しては、高額療養費制度の活用をご案内しています。
こちらも装具説明の際に、情報提供して頂くことが、患者様とそのご家族の不安を取り除く一助になると考えます。
詳細は、厚生労働省のホームページからご確認下さい。
短納期治療用長下肢装具の価値が全国の病院で認知され、脳卒中片麻痺者の歩行再建とQOL向上に貢献できると幸いです。
関連情報
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