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パシフィックニュース

A.I搭載の歩行支援ロボット「Keeogo」

リハビリテーション

脳血管障害

A.I搭載の歩行支援ロボット「Keeogo」

Keeogoを体験した理学療法士へのインタビュー

パシフィックサプライ株式会社 事業開発本部
理学療法士 松﨑 裕

2023-07-18

はじめに

2022年12月、川村義肢大東本社ショールームにロボットトレーニングセンター(Robotic Training Centre : RTC)をオープンしました。RTCでは講習を受けたスペシャリストがWistron Medical Technology Japan株式会社製のA.I搭載の歩行支援ロボット「Keeogo」を用いて、ご利用者様に合わせてプログラムしたトレーニングを提供しています。


Robotic Training Centre (RTC)
https://www.keeogo-rtc.kawamura-gishi.co.jp/

 
「Keeogo」はカナダで開発されたA.I搭載の外骨格移動支援装置(パワードスーツ)です。Keeogoは搭載されたA.Iが股関節・膝関節の角度変化をリアルタイムで検出してユーザーの動作を判断し、適切なアシストを選択、安全な動作を膝関節のモーターが支援します。ダーモスケルトンテクノロジーという従来の外骨格機器に比べより密着した構造になっており、装着時間も短縮されています。タブレットでユーザーとトレーナーの目標に合わせて細かくアシストの調整が可能であり、個人の設定を行うことが可能です。





Keeogo (Wistron Medical Technology Japan株式会社製)
https://keeogo-japan.com/

 

今回はオープン時に体験していただきました株式会社コーミンの安田さまに「Keeogo」について、理学療法士として実際に装着したご感想をお話しいただきました。
 


 
株式会社コーミン
理学療法士 安田友幸 さま


【ご略歴】
2007年 大阪医専 理学療法学科 夜間部 修了
     社会医療法人黎明会 北出病院 入職
2020年 株式会社コーミン 入職

令和2年4月、株式会社コーミンへ入職し、まちづくり事業と地域健康事業に従事。前職では、病棟でのリハや外来リハでの勤務を経て、訪問看護ステーションでのリハ ビリテーション部門の管理や、院内での訪問・通所リハビリテーション部門の立ち上げなどを経験。地域連携室で退院支援および退院調整、ベッドコントロール、転院相談等の業務も担当した。地域活動では、「通いの場」の立ち上 げ事業や「地域ケア個別会議」のアドバイザーに従事し、行政からの嘱託で介護認定審査員等を務めた。職能団体の活動では、地域で活躍できる リハビリテーション専門職の育成研修運営などに関わっていた。

【主な所属協会】
日本理学療法士協会


株式会社コーミンさま HP はこちら >> https://matituku.com/company/


 
安田さまへインタビュー



Keeogoの良いところを教えてください

使う側目線で、セッティングが非常に容易になっているように感じました。従来のロボットは重いものが多く、セッティングや装着にかなり手間がかかっていたと思いますので、リハビリの中で使うにあたっては、有効に時間を使えるのではないでしょうか。そのため、そのような手間で少し敬遠されがちだったロボットも使いやすくなることで導入しやすくなるのではないかと思います。
実際これまでのロボットでは装着に20分程度かかっていました。当然、慣れ不慣れはあると思いますし、一概に比較することはできないと思いますが、今回体験した際も、ほんの5分程度の短時間で装着させていただきましたし、使い勝手はすごく良いかなと感じています。
また、タブレットでアシストの調整が簡単に行えるのもポイントではないかと思います。今までのように重いノートパソコンを持ち運びしながら、設定値を変えたり、使用状況のフィードバックをしたりするのに比べると、利用者をよりしっかりと見ることができるので、非常に扱いやすいかなと思います。

どのような方に使用できそうですか

高齢者のリハビリで使うこともできると思いますが、若くして脳卒中などになられて後遺症を持っている方にニーズがあるのではないかと思います。麻痺等の障害の程度にもよりますが、アシストを受けてご自身で動くという点からも、社会復帰や自立支援、高いレベルでの機能回復を強く求められる若年層へのリハビリに有効ではないかと思います。
しかし、ロボットリハビリテーションはまだまだ周知が充分にできていないと思いますので、そういった面では、年齢問わず広く使っていただければいいのかなと思います。

どのような場面で使用できそうですか

急性期のリハビリからでも十分使えると思いますが、アシストを受けてご自身で動いて行うリハビリなので急性期より少し経った頃かなと思います。回復期リハや退院後の外来リハでの活用が望ましいのではないかと思います。
一般的に高齢者の場合、医療保険でのリハビリが終われば介護保険でのリハビリに移行となりますが、社会復帰を目指すような2号被保険者の場合、必ずしも十分な支援が介護保険制度の中で受けられるとは限りません。とはいえ、病院でのリハビリテーションがいつまでも続けられるのかというと、今では決められた期間を超えての継続が難しくなってきています。そのため、脳卒中リハビリテーションセンターのような自費のサービスでのニーズがあるのではないかと思っています。
期待するところですと、個別で行う自費のリハビリテーションはやはり大変高額だと思うので、ロボットの力を借りることで少しでもコストの自己負担を減らしていければ、もっと広まったり、ニーズを埋めたりできるのではないかと思います。
自費のリハビリテーションはまだまだ充実しているとは言えないので、そこに徒手的なリハビリだけではなくロボットを使ったリハビリが活用できるものなのではないかと考えます。

病院へのメリットは何が考えられますか

このようなロボットはやはりイニシャルコストが高いので、すべての病院への導入はなかなか難しいと思いますが、人手がかからなくなるということがメリットです。
病院では1単位を1人でしか取れないので、そこに介助で2人使わないといけないとなると、コスト的なところではやはりパフォーマンスが落ちると思います。そこにロボットを導入することによって1人のセラピストで訓練できるということであれば、セラピストはフィードバックをし、介助はロボットがするといった活用の方法があると思います。2人かかっていたところが1人でよくなれば、その部分のパフォーマンスは絶対に上がるので、そのようなところで活躍できるのかなと思います。

Keeogoのどのような所に期待しますか

ロボットに限らず、様々な機器を使用する場合、患者さんにどれだけ良くなるのかをセラピストが自信をもって伝えることができなければ、その機器を勧めることができないと思います。ロボットリハビリテーションという新しいフィールドでは様々なことが行われていますが、効果の実証や、その広い理解はまだまだといった印象です。次の段階はロボットがより活用されて初めて浸透していくと思っています。浸透していくには興味のある方々よりも経験の少ない方々がロボットに触れていくことが重要だと思います。
現状はアシストされて「足を前に出そうと思ったら、軽く足を出せる」程度で終わっていると思います。そのアシストを受けて何をするのかといった具体的なメニューの展開ができるかどうかが重要です。
例えば、ハーフスクワットをした際に、自分でどれだけその練習をしてもその角度でしか筋力を発揮させることができず、深屈曲の際には筋力を発揮できないままとします。ロボットを使用することで1人でも深くスクワットできれば、補助を受けながらでもその角度でのトレーニングができるということになりますので、徐々にアシストのレベルを下げていけば、知らない間に深屈曲ができるような使い方も可能だと思います。その状態に合わせた細かい設定ができるかどうかだと考えます。
勝手なイメージですが、ロボットはまだ「マシン」の認識なのだと思います。「マシン」が「道具」になって、「武器」になればいいのですが、「何かわからないマシン」や「新しいマシンが入ったな」と自分事ではなく、まだまだ違う世界のものだという認識なのだと思います。
セラピストがこれは自分たちの使う「武器」なんだという認識を持つことで次のフェーズに変わってくるのかなと思います。自分事として捉えてもらえるかどうか、「武器」として使ってもらえるかどうかだと思います。
Keeogoは装着に要する時間が短いですし、タブレットでのアシストの調整もセラピストにも簡単にできると思います。そのため、セラピストにとって使いやすいロボットになるので、色々な方に使っていただき、ロボットに対する「マシン」の認識が「道具」「武器」へと変わっていくことを期待します。
患者さんがロボットを使ってみて、何かできればそれはご本人にとっての自信につながることもあります。身体的な機能が十分でなかったとしても、心理的な要因で他のリハに対する波及効果を与えることもあるので、そのような面でもKeeogoには期待します。

最後に

今回は株式会社コーミン 安田友幸さまにA.I搭載の歩行支援ロボット「Keeogo」についてインタビューいたしました。
「Keeogo」は、安田さまのお話にもありましたセラピストのロボットに対する「マシン」という認識が変わり、自分たちの使う「武器」といった認識に変えることのできるロボットになりうると考えます。その結果、より多くの患者さんの生活が改善されるようになってほしいと思います。
パシフィックサプライでは医療機関向けに「Keeogo」のレンタル・販売も開始しております。より多くの方にお試しいただけるようにデモ機のお貸出やRTCでの体験をご用意いたしました。Keeogo 弊社ホームページ はこちら >>
また、製品について詳しく知っていただけるよう、弊社の教育サービス「Kawamuraアカデミー」でも説明しております。ご興味のある方は是非ご利用ください。Kawamuraアカデミー 医療・リハ機器カレッジ はこちら >>

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