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モーリフト利用事業所からの発信

リフト・移乗用具

モーリフト利用事業所からの発信

モーリフト利用事業所からの発信

社会福祉法人牧羊会 特別養護老人ホーム エデンの丘 施設長 古川 有希子

2012-07-01

特別養護老人ホーム エデンの丘は、香川県高松市西部の小高い丘の上にあり、木々の緑の向こうに瀬戸内海を望むことができます。昭和44年に開設されたシオンの丘ホームの姉妹施設として、平成12年、入所定員50名、ショートステイ定員20名、デイサービス定員30名で開設しました。高齢者の皆様の『笑顔と安心』の暮らしを支える介護を、日々目指しています。

外観写真

リフト導入のきっかけ

エデンの丘では、シオンの丘ホームから続く長年の歴史の中で培われた介護技術がOJTやスタッフ間の研修を通して受け継がれてきました。ご利用者様の安全・安心を第一とし、手のぬくもりの伝わる介護を頑張って行っていましたが、近年、大柄な体型のご利用者様や医療ニーズの高いご利用者様が増え、移動介助や移乗介助を複数名で対応しなければならない場面が多くなりスタッフの負担も増加傾向にありました。そんな折、四国老人福祉施設研究大会で「新しい介護方法への取り組み」の講座があり、北欧式トランスファーの考え方を知りました。

そこで、平成22年度、3回講座で開講された『第1期 明るい介護、負担の少ない介護 実践講座(主催:日本介護支援協会)』に介護主任とともに参加し、介護労働環境整備がいかに「良い介護」の実現に必要かを学びました。ご利用者様の状態像をきちんと分析し、その方に合った『道具』を適切に使用することで『ご本人の安全と介護者の安全を共に守る』という考え方です。その中で「座位保持が不可能な人」に必要な道具が「リフト」だったのです。同年に開催された国際福祉機器展(H・C・R)で様々なリフトを見聞し、数社にデモを依頼しました。リフトが良いことはわかっていても、『ご利用者様が怖がられるのでは・・・』『手間がかかる』等の懸念がスタッフの間では強く、導入を疑問視する声もありました。

しかしその懸念は、デモ機使用の際に、移乗時に介助への抵抗があったご利用者様がスリングシートにすっぽりと包まれて、安心したご様子で移乗された姿を見てすぐに払拭されました。それがきっかけで、吊られたときに揺れの少ないモーリフトの導入が決まりました。

明るい介護 負担の少ない介護

この実践講座では、介助時の動作別の介助負担やご利用者様の状態別の環境整備の必要性とその方法をワークを通して学びました。その時の職員への実践前アンケートでは、以下のような結果がでました。

またご利用者様個々の環境整備状況を評価するためのチェックリストでは、リフトは無いものの、ベッド・車椅子等はほぼ身体状態にあったものを使用できているという結果がでました。

課題となっている介助・・・多数意見

  • 体重が重い方のトランスファー
  • 介護拒否・暴力のある方のトランスファー
  • 立位保持が出来ない方のトイレ移乗
  • 床・畳⇔車椅子間の移乗
  • 認知症等でこちらの言葉が伝わらない方の移乗
  • 病気等で筋緊張の強い方の移乗

車椅子・・・ご利用者様と車椅子の適合率:86%
※立位は保てるが歩行はできないご利用者様にフットレストが外せ、アームレストが上がる車椅子の整備が不足している。

ベッド・・・ご利用者様とベッドの適合率:88%
※ ご自身で歩ける方に3モーターのベッドを使用している。
※ 転落の危険性が高い方に低床ベッドが整備できず畳+布団を使用している。

この環境チェックはご利用者様の身体状態を、座位保持の可否・立位保持の可否・歩行の可否で帯別し、必要な福祉用具や機能をチェックするものでした。その結果、座位が保てないご利用者様が全体の30%を占め、座位保持不能=リフト活用有効という観点から、リフトの必要性が浮き彫りになりました。また、座位保持は可能だが立位保持が難しい方に有効なスライディングボードやベッド上での移動・移乗時に使うスライディングシートはすぐに整備を行い、「持ち上げない介護」の研修を実施し、実践に移していきました。

アンケート

リフト導入

リフトは各階1台ずつ整備し、まずは大柄な体型の移乗介助が難しいご利用者様2名(各階1名ずつ)から使用を開始し、リフト使用の習慣化と使用方法(技術)の均一化を図りました。これは、パシフィックサプライ(株)インストラクター武田氏より、導入時研修と導入1ヶ月後研修を受講したことにより各スタッフが、実践的技術として身につけることができました。

導入時研修では基本操作研修、1ヶ月後研修では使用時の疑問点・問題点を中心に研修を重ね、ご利用者様の体型により車椅子とリフトの位置関係を工夫したり、深く座る為に車椅子を傾けて移乗したり等、お一人お一人にあった使い方の指導を受けることで、スタッフ間でも「リフト使用前提」での情報共有・情報交換がなされるようになりました。

また、リフト導入後の介護業務に関するアンケートでは、リフト使用前より腰痛等身体的負担が軽くなった・業務内容が改善したと回答したスタッフは96%にのぼり、これも導入による成果と感じています。

モーリフト利用写真1

モーリフト利用写真2

現状と課題

現在、最初に利用していただいた2名の方に関してはリフトなしでの移乗は考えられない状況になっており利用は定着化しています。ただ、お2人への使用が定着しているため、他の方の介助への活用が十分に行えていない点が今後の課題となっています。

より多くの方に利用していただくために、スリングシートの種類や数も増やしましたが、ご利用者様お一人お一人、体型や体格、車椅子の種類や可動域など状況が異なる為、リフト使用の際に「???」となることが多く、それも十分に活用できない要因の一つとなっています。そこでスタッフが思いついたのがスカイプ(ネット電話)を使用したレクチャーでした。

武田氏と映像を通してリアルタイムに指導をしていただくことで、疑問点が解消され、少しずつ活用の機会が広まってきています。3月に行われたリフトリーダー研修には理学療法士が参加させていただき、専門的な視点からの技術研修やOJTによる技術レクチャーも気軽に行えるようになりました。今後もリフトをはじめとした福祉機器を適切に使用し、ご利用者様・スタッフ双方に「負担の少ない介護」を実践することで、施設理念でもある『笑顔と安心』を実現していきたいと思います。

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